祇園ノ花道
道のく短い我が旅路 
冷んやりと夜風が頬を伝う
祇園も紅に染まる頃 
心に決めたは一つ

為来りも侭ならぬままに 
桃色の砥の粉をさらさらと
今泣いた鴉はもう笑う 
張り扇でも愛嬌

いけずに負けぬは一番に成る事
泣きまへん 泣けば誰かを辛くする

馬鹿がいい馬鹿の方がいい 
見えないものが見えたりするのえ
綺麗が過ぎても生きちゃゆけぬ 
滲む金魚鉢の藻

紙吹雪が舞う あの方の様に
いつか我てもと願う十五夜の月よ

帰りまへん 帰る場所はもう
ありゃしまへんのよここが今
咲かせて魅せる 一度決めたら
女子に二言は無しよ

いけず顔 横目で流し
涼しげなお顔でにんまりと
あれよこれよと宴をこなし
たおやめに愛らしく

嗚呼・・・夜もすがら・・・
嗚呼・・・鳴り響く・・・

ご覧あれそれ見事舞う
闇夜に礫でもかましまへん
さぁ 舞妓道
いざ ゆきますえ
光が射す祇園の華
舞う