蒸発
また朝が来て 僕は出窓に座り
屋根から落ちる水滴を見ながら 朝一番を吸う

昨夜の雨が時間をかけて 一つずつポタポタポタポタ
屋根から飛び降りていく様 土にしみこんでいくが
蒸発しまた雨になりまたしみこんで 蒸発するこの閉塞感

朝霧はどうやらあの川から立ちこめてくるらしい

橋の上で川を眺めている男が
僕の視点から完全に逃れたときに
橋に並行する線路を貨物列車が走っていった

霧の向こうで彼は飛び乗ったんだろう
この閉じこめられた世界から次の世界へと