椅子
詞・曲 尾崎窓

貴方が好きな花を僕は探して
渡せずに水を与えている
綺麗なままのその花の色が
綺麗であるほど俯いてしまう

今水や花や樹は 今蝶や蜘蛛や蟻は
今犬や猫や鳥は同じ顔で頷いた

もしも貴方使ってくれるなら 椅子にでもなれる気がします
声も出せずに音も立てずに椅子の様なものでも構わない
愛は一つ 僕で一つ 貴方を支える愛はきっと一つ
脚が折れても 背が無くても 貴方の椅子なら痛まない

貴方が好きな花を僕は探して
渡せずに水を与えている
慰める様にその花は枯れない
諦めを含む花が咲く

大きな夢を語る人は 語ること自体が夢さ
僕なんて座り込めばどんなに抱いても夢は星さ

欲を言えば せめて夢の中で 貴方を僕へと招きたくて
名前言うよ 憶えてよ 覚えてくれたら呼んでよ
夢が覚めて 現在に萎えて 余韻覚めやらぬ中で愛を隠す
結局僕 椅子でいいさ 貴方の前では椅子ぐらいでいいさ

 
なんだかねえ なんだかねえ