あの子
眠い目を こすって
鳥たちが いま家へ帰る
海へ沈ん でく太陽と
月がいま ほら目配せをした

夜の帳が そっと下りるころ
花のにおいも 遠くなるね
夢の中の夢で もう少し
口笛を吹く あの子の影

たばこの煙に巻かれて
一息ついて
誰かの安らぎを
祈るようなひと時は
なくさないよに 守っていたい

眠れない日は お話をして
歌をうたって それが幸せ
星を数えて 数えるほども
ない束の間の 短い話

あの子の歌に 耳を澄まし
さっきの鳥たちが 眠りについた
窓辺の林檎の 赤色の
まぶしさだけが 部屋を飾る