夏風トリップ
浮雲ひとつ飴玉に擬えて
袖口ひらり指先で持て余す

向日葵ふたつ睦まじく丈比べ 
祭囃子に胸は高鳴る

蝉時雨のなか 指折り数えては 君を待つ

夏風に吹かれ言葉は消されて
頼りなく揺れる僕らの影
同じ空の下 願い 叶うなら
流れる時間よ 此の侭止まれ

調子外れの風車 暇潰し
くるくる廻る浮き世は鮮やかで

あちらこちらで華やいだ藍染も
それに合わせて軽やかに舞う

美しい輪を描いて

夏風に吹かれ言葉は消されて
夢の片隅想いを寄せた

-妄想がちな少年の 焦燥感の証明は 青春と呼ぶ情景を 埋めていく-

夏風に吹かれ言葉を届けて
頼りなく揺れる僕らの影
同じ空の下 手を繋げたなら
流れる時間よ 此の侭止まれ