あの夏に僕を置き去りにして
世界は変わってしまった
あの頃僕らの全てだった 駅の南側
隠し事なんて一つもなかったろう?
君が最後に
何かを伝えようとしていた気がして
その答えを探して
夏に囚われたまま
透明な氷を作るのは
難しいんだよ、と得意げに
もう一度笑ってよ
君がグラスの水滴を
指でなぞるのを目で追った
窓の外を見やる横顔
首筋を流れ落ちる汗
あの頃、巷で流行った
死にたがりの病は
数年後には誰もが
なかったことにしていた
ただ一人を除いて
綺麗なもの
ただそれだけを浮かべて笑っていた日々
変わらないままで
僕らはどこまでも行けると信じてた
溶けてしまいそうな
君のクリームソーダ
それは僕に残された
偽物の永遠に似ていた
何も疑わずに僕ら
また明日って言った
君を連れ去った夕陽
目を逸らせなかった