歌詞解説
(イントロ)
ときの声をききはじめて
(時と明智の出身である土岐氏にかけて)
歩き続けた峠の山道
(結婚して3年ほどたって明智は住んでいた城を出て急な坂を越えます)
妻を背負いて急な坂ゆけば
(光秀は妻を背負い、家臣が代わりましょうと申し出ても代わらなかったといいます。)
思い出すは出会ったあの頃
許嫁(いいなずけ)に望んだ彼女と
病のため会うことできず
待つこと久しく
訪れた日には
似たる妹 かわりにあらわれ
(光秀は妻木煕子と婚約していましたが痘瘡にかかりあばたができてしまいました。焦った父親は容姿の似た妹を明智のもとに向かわせました)
なぜに こんなことをするのか
約束かわした相手はあの女(ひと)
病 痕をのこすことなど
少しも気にすることなどないのに
(光秀は一目で見破り、自分は姉であると煕子と結婚することを決めたのであり、あばたなど関係ないとして姉と結婚しました。)
居どころおわれてすべてを失うも
子を宿した妻の身愛おし
険しい道でも心満たされ
流浪の旅路も春のそよ風
(坂道を背負っている時、煕子は子を宿していました。)
連歌の集まりにふるまう品々
振り返れば黒髪短く
わがため髪切る妻の姿に
胸の内熱くし
愛しさいやます
(貧しい中、持ち回りで連歌の集まりに顔を出していた光秀でしたが、光秀の時に出すものが出せずに困っていたところ、妻が髪を切って金にかえ、酒と肴を買って光秀の面目を立てたといいます。)
(間奏)
国と国が争う時
織田の男国々たいらげ
争い収める期待かけるも
翻(ひるがえ)ってこの国盗ろうと
(織田信長は覇道で邁進して国をまとめていきましたが、やり方が強引でついには朝廷を手中に収めようとしました。)
この国は天津(あまつ)の子孫が
しろしめすは変わらぬ掟
掟に背けばたちまち乱れて
狙う外(と)つ国襲いて滅ぼす
(日本の国はなんだかんだといいながら朝廷をたてることで収まっています。家臣が朝廷に替わろうとすれば、国は分裂して、狙っていたポルトガルなどの餌食になります。)
時は今と天が下知る
さつき(5月=殺気)は乱れて天魔を仕留める
(明智の句です「とき(時=土岐)はいまあめがした(天が下)しるさつき(五月=殺気)かな」本能寺の前に詠んだといわれています。)
次の時代任す男に
あえて勝たせこの身は変わり身
(豊臣とはあらかじめしめしあわせてあり、変わり身を光秀の遺体として差し出し光秀は千宗易のになり替わって光秀の軍師をすることになります。)
小さな茶室で謀り事重ねて
国の未来思いて過ごすも
正体見抜かれむくろの変わり身
姿をくらまし東(あずま)へ向った
(ところが正体を見抜かれたため、切腹したとして身を隠し、岐阜でしばらく身を潜めてから徳川家康と会い、関ヶ原で天海として顔を出すようになります。)
隠れて生き延びて
陰で支える
わが命の不思議な宿命
知らずに謗(そし)るも
やむなきことかな
この身など惜しまず
名前をも惜しまず
(「身など惜しまず、名おも惜しまず。」光秀の句です)
(間奏)
人の命、限りあれば
任せた男この世を去りては
またも争い起きる気配あり
治めるには器が必要
(豊臣秀吉が死に、変わって国を治める人が必要になりました。)
男には跡継ぎがいたが、
(秀吉には秀頼という後継者がいましたが)
淀の君が隠した秘密
(秀頼は秀吉の子ではなく、大野という家臣との間にできた子供だったのです。そしてまた悪いことには大野は一度徳川に反旗を翻したことがあり、心底服従している家臣ではなかったのです。)
この国まとめて争い絶たたねば
外から攻められ再び乱れる
僧の衣まといながらも
起こった戦の流れをみつめる
陰(勘解由=光秀の妻の実家)の絆、助け潜みて
不利な戦(いくさ)、流れ変わりゆく
(関ヶ原においては、小早川秀秋が徳川についたことが勝敗を逆転しましたが、この陰には、秋葉正成が徳川への内応をすすめたというが、その妻こそが後の春日局お福であった。しかもこのお福は明智光秀の家臣斎藤利三の娘で、光秀と血縁関係がある。)
悪逆非道と謗りをうけながら
明智の末追われて逃げのび、
忍びて秘かに時を待ちては
一人の女に使命託した。
(稲葉と離縁し家光の乳母となって、家光を将軍とした。家光は徳川家康と福の子供だった。そのため江と秀忠は自分の子忠長を立てようとして対立したが家康が、家光を将軍に決めた。ちなみに家光の家は家康の家、光は光秀の光。)
明君育てて
国をまとめさせて
争い終え平和な時代の
礎築いた女の手柄を
陰で助けた
天海は光秀