ラブレー
名前を失って
声も失った
些細な痛みにさえ慣れない僕は
息を殺した罪に追われた
誰の目にもくれない壇上の役者

暗くなる舞台 開く暗幕
僕を隠して生かせよ
演出監督

その顔を伏せて 背景に合わせて
これから始まる事に盲いろうとも
君の目にはどう映るか
世界は色をなくして

君は逃げるように暗い場所へ
ほら僕と同じ 客席を気にしている
俯く日々に手を振るために
君の手を引くために
舞台へあがる

些細な痛みで視線が刺さる
脚本にはいなかった
登場人物

慣れないワルツを 閑静な舞台で
観客は君だけ
ただひとり、君だけ
僕の過去はどう映るか
世界は逆さに回りながら


その顔を上げて 黒の衣装のまま
慣れないワルツも 下手くそな踊りで
喜劇は終わった さあ幕を引け
絡まる不安も 君は振りほどいて
漸く舞台に立てた
僕らは役をなくして