「ヘキサグラム」
冬の部屋は黙っていても
蛍光灯はうるさい
警笛の様に鳴るから
目を瞑っていた
その先を手繰れば瞼に
幾何学の模様の扉が見えた
意味する物を意図せず
生じる
頭の中の渦巻きを
指でなぞってみたら
それは美しいヘキサグラム
叡智の徴
その先を手繰れば瞼に
蜂の巣の模様の硝子が見えた
意味する物を欲して
飛び込む
白んだ陽が弾ける温室
精巧で対称な世界の支配者!
…暖かな陽光…
…六角の紋様…
叡智が注がれた場所から
神秘の芽が伸びて
やがて樹に成る
あの空を破る程に大きく
新たな智慧の実が生ったら
それは甘く匂い私を誘う
口にした瞬間
さあ
目覚める―!