Emile
海外
Pops / Punk / Rock
G./Vo.Chigilla Emile(♀) G.HxJxM Emile(♂) Ba./Vo.Non Emile(♀) Dr.T.T.Emile(♂)
Emile interview
G./Vo.Chigilla Emile(♀)
G.HxJxM Emile(♂)
Ba./Vo.Non Emile(♀)
Dr.T.T.Emile(♂)
interview:Hunter Simpson
tranlation:WAMRA
2005年晩秋にシアトルにて結成されたEmile。当初は17歳のHxJxMと13歳のChigillaによる宅録ユニットだった。しかし、その後ともに15歳のNonとT.T.が加入し、精力的にライブ活動を行うようになる。そのライブによって見初められた彼らは、宅録時代の楽曲を7月と8月に続けざまにリリースするという衝撃のデビューを飾った。90S USインディーロック、80S US東海岸系ハードコア、70Sガレージロックを食い尽くす若い才能に、世界が注目している!
●ChigillaとHxJxMはどこで出会ったんだい?
HxJxM:最初はシアトルで友達のGIGを観に行ったときに出会ったんだよ。
●でも、Chigillaは13歳だよね?
Chigilla:孤児院の先輩があたしにロックを教えてくれたんだ。って言ってもThe Ramonesしか知らないんだけどね。それでライブに行けばThe Ramonesに会えるって思ってたんだけど、どこに行ってもいないんだよ!
HxJxM:ハハハ、超ファニーだよね(笑)。
●Chigillaは孤児院に住んでるんだ?
Chigilla:あたしが小さい頃に、父親はヘロインのオーバードーズで死んじゃったんだ。それと同時に母ちゃんが交通事故で死んだってニュースがTVで流れてさ。ホントにぶっ飛んだよ(笑)。それでババアの家に預けられたんだけど、こいつがファックなババアでさあ! あたしの事を散々いたぶりやがるんだ。それでババアの家から逃げて、結局は孤児院に入れられたんだ。
●The Ramonesのロックに出会ったのは?
Chigilla:5歳の時だよ。それがあたしの全てになったの。
HxJxM:僕が最初に出会ったのはThe Clash。それでパンクに目覚めて地元のバンドとかを観にいくようになったんだ。小学生くらいでThe Get Up Kidsに出会ったり、SUB POP RECORDSなんかをDIGるようになった。Mudhoneyとかがバリバリにやってた頃とかはまだ子供だったんだけど、やっぱりシアトルのバンドからの影響は大きいね。
●Emileを組むことになったのは?
HxJxM:ちょうど、Chigillaがギターを買って歩いてたところにバッタリ出会したんだ。ジミ・ヘンドリックスの像の前でね。で、彼女が「バンドやろうよ!」って言うから始めたんだ。
●やっぱり最初はThe Ramonesをコピーするところから始まったのかい?
HxJxM:それが難しくて出来なかったんだよ(笑)!
Chigilla:レコードを聴いてるだけじゃ、ギターをどうやって弾けばいいのか分かんないじゃん。コードとかよく分かんないんだもん。
HxJxM:まずは僕がChigillaにギターを教えるところから始めて、それで最初に出来たのが1stアルバムの1曲目に収録されている「Seventeen」なんだ。
●まだ、その頃は2人だけでバンドじゃなかったんだよね。
HxJxM:下手すぎて誰も相手してくれないからね。だから僕が機材をいじって、何とかロックに仕立て上げたんだ。
Chigilla:HxJxMは中産階級だからね。機材とかも親に買ってもらえるんだ。
●でも、凄い勢いで曲を作っていったんだね。1stアルバムと2ndアルバムを合わせると30曲もあるけど。
HxJxM:そのときは僕が冬休みで暇だったんだ。
Chigilla:Emileは曲をボツにしたりしないからね(笑)。
●全部、3分に満たない曲だね。こういうシンプルでショートな曲っていうのは、やっぱりThe Ramonesへの敬意なのかな?
HxJxM:ハハハ、いや曲が長いと展開を覚えられないだけだよ(笑)。1stアルバムと2ndアルバムの違いを挙げるとすれば、Chigillaのギターが段々と上手くなってきたことだよ。
●確かに1stアルバムの方が、ベッドルーム・ミュージックっぽいのかもしれないね。
Chigilla:2ndアルバムの方がエモーショナルだって言われるよ。あたしがだんだん飽きてきたから、シャウトしてる曲が2ndアルバムの方が多いんだ(笑)。
●曲はどうやって作っていくんだい?
HxJxM:Chigillaがギターで作ったものも合わせて僕がまとめるんだ。それで僕がドラムを打ち込んでる間に彼女がその曲のギターの練習するんだよ(笑)。それで僕の打ち込みが終わったら、もう練習しちゃいけなくて、彼女のギターを録る。それが終わったら僕が他のパートをダビングする。そのダビングが終了するまにChigillaは歌詞を書かなくちゃいけないんだ。
Chigilla:それが終わったら歌を録るんだけど、メロディもその時にいきなり考える
の!
●クレイジーな作業だね(笑)。
HxJxM:夕飯までに作業を終わらせたかったからね(笑)。彼女も孤児院に帰らなくちゃいけないし。だから2時間くらいで1曲作ってたからね。でもさ、Chigillaは全然ギターも弾けなかったのに全く物怖じしないからね。それで曲も出来るんだから凄いと思うよ。
Chigilla:あたしは小さな時から役者もやらされていたでしょ。役者のオーディションの時にさ、いきなり豆腐を持ってこられて「これを握りしめて演技をしろ」とかクレイジーなことを言われるの。
●豆腐で演技か! そりゃ凄いね(笑)。
Chigilla:そういうことを経験してるからさ、突然メロディを歌えって言われても対応できるんだよ(笑)。
●生い立ちが培った技ってことか!
Chigilla:同情なんかいらないけどね(笑)。でもさあ、出演料もエージェントに殆どピンハネされてたんだ。そいつにも殴られたことがあるからね。超ファックだよ。
●曲によって歌い方だったり歌詞の世界が違うけど、それもアクトレスをやっていたからかな。
Chigilla:いろんな体験をしてきたからさ。世界中を旅して1人で船に乗ったり、ジャングルに行ったり。
●歌詞はChigillaが全部書いてるけど、君は小説も出版したことがあるんだよね。
Chigilla:そうだよ。小さい頃から小説は書いていたんだ。だからあたしにとって書くことは呼吸するようなものなの。
●じゃあ最初はロックバンドじゃなくてノベリストになりたかったのかい?
Chigilla:そんなの分かんないよ! 将来のことなんて考えてないからさ。
HxJxM:彼女は今がよければそれでOKなんだよ(笑)。
●1stアルバムには「King of U.S.A.」なんて曲があるけど。
HxJxM:やっぱりブッシュはおかしいよ。共和党のやり方も問題があると思うし。あいつはただの戦争オタクだね。
Chigilla:へえ。でも、あの曲はあたしが“King of U.S.A.”ってことなんだよ!アメリカは民主主義の国だからアメリカ国民はみんな“King of U.S.A.”なんだ。
●でも、歌ってることは“俺のバイク、すっげー速いぜ”とか“超でっかいローストビーフ食べる!”とかだけど…。
Chigilla:アメリカ人は自国の文化に誇りを持ってるんだよっ!
HxJxM:ウォールマートに行けば、何でも手に入るんだぜ!
●「Suciadal Pharmacy(自殺薬局)」って曲ではリアルなティーンの生態が描かれてるね。
Chigilla:その曲では大人になることの憧れと恐怖の2面性を歌ってるの。その主人公の母親はビッチでいろんな男と寝ている。そんな親を見て育った少年が大人になることに恐怖感を抱き、オード・トワレを飲んでトリップするっていう歌なんだ。
●なるほどね。バンドの話に戻るけど、やっぱりGIGをしたくなってバンドを組むことにしたのかい?
HxJxM:家に引き籠もるばかりになっちゃうからね。
●Nonとはどうやって出会ったんだい?
Non:あれは自然食レストランだったね。
Chigilla:Nonはドラッグばっかりやっていて、身体がボロボロだったんだよ。それでオーガニックな食べ物しか受け付けなくなってんだ。
Non:アタイはトレーラー・ハウスで生活しててさ、オヤジもオフクロも元ヒッピーなんだよ。そういう環境に育ったんだけど、スピリチュアルなものに目覚めてさ。そこでChigillaに出会い、ロックを始めたんだよ。
●初めて会ったときに何か感じるものがあったのかい?
Non:Chigillaを見たときに「アタイ、あの娘と話さなきゃ!」って思ったよ。それでロックバンドをやってるって言うから、デモをまず聴かせてもらったんだ。
HxJxM:彼女はその次の日にベースを盗んできたのさ!
●じゃあ、Emileで初めてベースに触れたんだ?
Non:なんか楽器っぽいものを盗んできたら、それがベースだったって話だよ(笑)。
HxJxM:別に僕は楽器をいっぱい持ってるから、あげても良かったんだけどさ。
Non:それに対してはファックだよ!
Chigilla:Nonはうちの猫の生皮を剥がして殺したんだよ。
Non:どっちがフリッパーズギターを好きかってことで大喧嘩したのさ。
●ホントにクレイジーな連中だな(笑)。T.T.とはどうやって出会ったんだい?
T.T.:僕はシアトルのGAPでアルバイトをしていたんだよ。そうしたら、この3人がやってきて万引きしたんだ。だけど僕は見逃すことにした。ChigillaがThe RamonesのTシャツを着ていたからね。僕の父と母はジャズ・ドラマーで、僕は幼い頃からドラムをやっていた。だけど、ロックバンドをやりたいと思ってたんだ。
HxJxM:ジャズも偉大な音楽だけど、ティーンエイジャーのアートフォームはやっぱりロックだよ(笑)。
●それでEmileに加入したんだね。
T.T.:街を歩いていたら、3人が僕の方にやって来たんだよ。
Non:てめえ、嘘つくんじゃねえよ!
Chigilla:あんたがニヤニヤしながら近づいてきたんじゃないか! それでアタシら
がスタジオに行くっていったら勝手に付いてきやがったんだよ。
T.T.:ハハハ…。万引きは悪いことだって思ってたんだけど、実はEmileに惹かれていたんだ。
●これで4人が集まり、ライブが出来るようになったんだね。
HxJxM:それでBASEMENT BARっていう地元のライブハウスで初めてGIGをやったんだけど、たまたまCoa Recordsのオーナーが来ていてEmileのことを気に入ってくれたんだ。
●このインタビューは日本の雑誌で紹介されるらしいんだけど、日本の印象はどうだい?
HxJxM:ドラゴンボール!! ドラゴンボール!! ドラゴンボール!!
Chigilla:日本のアニメはクールだよ。
Non:貧乏姉妹物語!! 貧乏姉妹物語!!
Chigilla:フフン、Nonは日本のアニメが超好きなんだ。
T.T.:ワビ、サビ、モエー! 僕は日本の萌えをシアトルで広めたいよ!!
●ハハハっ、よっぽど日本が好きみたいだね。そうそう、ジャケットはHxJxMがデザインしたんだって?
HxJxM:実は、僕はアート・ディレクターになりたいんだ。
Chigilla:HxJxMは友達のバンドのフライヤーなんかも作ってるんだけど、わりとクールだよ。
●1stアルバムのジャケットはスカルがモチーフになってるけど。
HxJxM:それは骨になるまでロックをやるっていう意思表明だよ(笑)。
Chigilla:2ndアルバムのジャケットは、アタシがJINDAI BOTANICAL PARKに行ってきて、お花をケータイで沢山撮ってそれをコラージュしたんだ。これはこの世界にある全てのロックンロール・レコードを表現しているの。沢山のレコードがあるけど、君は何枚のレコードを持ってるんだい? ってことなの。
●ところで、Emileってバンド名の由来を教えてくれるかい?
Chigilla:フィーリングっていうか思い付きだよ。ただ、何でEmileって名前を付けたんだろうって思って図書館で調べことがあるの。そこでジャン・ジャック・ルソーの『エミール』っていう本が見つかったんだ。それは教育論の本なんだけど、ルソーは“人間は自然のままが一番でそれに手を加えるとおかしくなってしまう”ってことを書いてる。まるで思いついたまま曲を作って、それをレコーディングしてしまう、このバンドに似たものを感じたんだ。
●なるほどね。じゃあ、最後に日本のキッズたちにメッセージをくれるかい?
Non:遺影を燃やす前に自分を燃やせ!
T.T.:スターバックス!!
HxJxM:僕らはセルアウトをするつもりはないから、EmileのCDは一生懸命探さないと見つからないかもしれない。でもThink Global Act Localの精神でバンドを続けていくよ。後は早く少年ナイフに会いたいよ!
Chigilla:ファック・ユー!
G./Vo.Chigilla Emile(♀)
G.HxJxM Emile(♂)
Ba./Vo.Non Emile(♀)
Dr.T.T.Emile(♂)
interview:Hunter Simpson
tranlation:WAMRA
2005年晩秋にシアトルにて結成されたEmile。当初は17歳のHxJxMと13歳のChigillaによる宅録ユニットだった。しかし、その後ともに15歳のNonとT.T.が加入し、精力的にライブ活動を行うようになる。そのライブによって見初められた彼らは、宅録時代の楽曲を7月と8月に続けざまにリリースするという衝撃のデビューを飾った。90S USインディーロック、80S US東海岸系ハードコア、70Sガレージロックを食い尽くす若い才能に、世界が注目している!
●ChigillaとHxJxMはどこで出会ったんだい?
HxJxM:最初はシアトルで友達のGIGを観に行ったときに出会ったんだよ。
●でも、Chigillaは13歳だよね?
Chigilla:孤児院の先輩があたしにロックを教えてくれたんだ。って言ってもThe Ramonesしか知らないんだけどね。それでライブに行けばThe Ramonesに会えるって思ってたんだけど、どこに行ってもいないんだよ!
HxJxM:ハハハ、超ファニーだよね(笑)。
●Chigillaは孤児院に住んでるんだ?
Chigilla:あたしが小さい頃に、父親はヘロインのオーバードーズで死んじゃったんだ。それと同時に母ちゃんが交通事故で死んだってニュースがTVで流れてさ。ホントにぶっ飛んだよ(笑)。それでババアの家に預けられたんだけど、こいつがファックなババアでさあ! あたしの事を散々いたぶりやがるんだ。それでババアの家から逃げて、結局は孤児院に入れられたんだ。
●The Ramonesのロックに出会ったのは?
Chigilla:5歳の時だよ。それがあたしの全てになったの。
HxJxM:僕が最初に出会ったのはThe Clash。それでパンクに目覚めて地元のバンドとかを観にいくようになったんだ。小学生くらいでThe Get Up Kidsに出会ったり、SUB POP RECORDSなんかをDIGるようになった。Mudhoneyとかがバリバリにやってた頃とかはまだ子供だったんだけど、やっぱりシアトルのバンドからの影響は大きいね。
●Emileを組むことになったのは?
HxJxM:ちょうど、Chigillaがギターを買って歩いてたところにバッタリ出会したんだ。ジミ・ヘンドリックスの像の前でね。で、彼女が「バンドやろうよ!」って言うから始めたんだ。
●やっぱり最初はThe Ramonesをコピーするところから始まったのかい?
HxJxM:それが難しくて出来なかったんだよ(笑)!
Chigilla:レコードを聴いてるだけじゃ、ギターをどうやって弾けばいいのか分かんないじゃん。コードとかよく分かんないんだもん。
HxJxM:まずは僕がChigillaにギターを教えるところから始めて、それで最初に出来たのが1stアルバムの1曲目に収録されている「Seventeen」なんだ。
●まだ、その頃は2人だけでバンドじゃなかったんだよね。
HxJxM:下手すぎて誰も相手してくれないからね。だから僕が機材をいじって、何とかロックに仕立て上げたんだ。
Chigilla:HxJxMは中産階級だからね。機材とかも親に買ってもらえるんだ。
●でも、凄い勢いで曲を作っていったんだね。1stアルバムと2ndアルバムを合わせると30曲もあるけど。
HxJxM:そのときは僕が冬休みで暇だったんだ。
Chigilla:Emileは曲をボツにしたりしないからね(笑)。
●全部、3分に満たない曲だね。こういうシンプルでショートな曲っていうのは、やっぱりThe Ramonesへの敬意なのかな?
HxJxM:ハハハ、いや曲が長いと展開を覚えられないだけだよ(笑)。1stアルバムと2ndアルバムの違いを挙げるとすれば、Chigillaのギターが段々と上手くなってきたことだよ。
●確かに1stアルバムの方が、ベッドルーム・ミュージックっぽいのかもしれないね。
Chigilla:2ndアルバムの方がエモーショナルだって言われるよ。あたしがだんだん飽きてきたから、シャウトしてる曲が2ndアルバムの方が多いんだ(笑)。
●曲はどうやって作っていくんだい?
HxJxM:Chigillaがギターで作ったものも合わせて僕がまとめるんだ。それで僕がドラムを打ち込んでる間に彼女がその曲のギターの練習するんだよ(笑)。それで僕の打ち込みが終わったら、もう練習しちゃいけなくて、彼女のギターを録る。それが終わったら僕が他のパートをダビングする。そのダビングが終了するまにChigillaは歌詞を書かなくちゃいけないんだ。
Chigilla:それが終わったら歌を録るんだけど、メロディもその時にいきなり考える
の!
●クレイジーな作業だね(笑)。
HxJxM:夕飯までに作業を終わらせたかったからね(笑)。彼女も孤児院に帰らなくちゃいけないし。だから2時間くらいで1曲作ってたからね。でもさ、Chigillaは全然ギターも弾けなかったのに全く物怖じしないからね。それで曲も出来るんだから凄いと思うよ。
Chigilla:あたしは小さな時から役者もやらされていたでしょ。役者のオーディションの時にさ、いきなり豆腐を持ってこられて「これを握りしめて演技をしろ」とかクレイジーなことを言われるの。
●豆腐で演技か! そりゃ凄いね(笑)。
Chigilla:そういうことを経験してるからさ、突然メロディを歌えって言われても対応できるんだよ(笑)。
●生い立ちが培った技ってことか!
Chigilla:同情なんかいらないけどね(笑)。でもさあ、出演料もエージェントに殆どピンハネされてたんだ。そいつにも殴られたことがあるからね。超ファックだよ。
●曲によって歌い方だったり歌詞の世界が違うけど、それもアクトレスをやっていたからかな。
Chigilla:いろんな体験をしてきたからさ。世界中を旅して1人で船に乗ったり、ジャングルに行ったり。
●歌詞はChigillaが全部書いてるけど、君は小説も出版したことがあるんだよね。
Chigilla:そうだよ。小さい頃から小説は書いていたんだ。だからあたしにとって書くことは呼吸するようなものなの。
●じゃあ最初はロックバンドじゃなくてノベリストになりたかったのかい?
Chigilla:そんなの分かんないよ! 将来のことなんて考えてないからさ。
HxJxM:彼女は今がよければそれでOKなんだよ(笑)。
●1stアルバムには「King of U.S.A.」なんて曲があるけど。
HxJxM:やっぱりブッシュはおかしいよ。共和党のやり方も問題があると思うし。あいつはただの戦争オタクだね。
Chigilla:へえ。でも、あの曲はあたしが“King of U.S.A.”ってことなんだよ!アメリカは民主主義の国だからアメリカ国民はみんな“King of U.S.A.”なんだ。
●でも、歌ってることは“俺のバイク、すっげー速いぜ”とか“超でっかいローストビーフ食べる!”とかだけど…。
Chigilla:アメリカ人は自国の文化に誇りを持ってるんだよっ!
HxJxM:ウォールマートに行けば、何でも手に入るんだぜ!
●「Suciadal Pharmacy(自殺薬局)」って曲ではリアルなティーンの生態が描かれてるね。
Chigilla:その曲では大人になることの憧れと恐怖の2面性を歌ってるの。その主人公の母親はビッチでいろんな男と寝ている。そんな親を見て育った少年が大人になることに恐怖感を抱き、オード・トワレを飲んでトリップするっていう歌なんだ。
●なるほどね。バンドの話に戻るけど、やっぱりGIGをしたくなってバンドを組むことにしたのかい?
HxJxM:家に引き籠もるばかりになっちゃうからね。
●Nonとはどうやって出会ったんだい?
Non:あれは自然食レストランだったね。
Chigilla:Nonはドラッグばっかりやっていて、身体がボロボロだったんだよ。それでオーガニックな食べ物しか受け付けなくなってんだ。
Non:アタイはトレーラー・ハウスで生活しててさ、オヤジもオフクロも元ヒッピーなんだよ。そういう環境に育ったんだけど、スピリチュアルなものに目覚めてさ。そこでChigillaに出会い、ロックを始めたんだよ。
●初めて会ったときに何か感じるものがあったのかい?
Non:Chigillaを見たときに「アタイ、あの娘と話さなきゃ!」って思ったよ。それでロックバンドをやってるって言うから、デモをまず聴かせてもらったんだ。
HxJxM:彼女はその次の日にベースを盗んできたのさ!
●じゃあ、Emileで初めてベースに触れたんだ?
Non:なんか楽器っぽいものを盗んできたら、それがベースだったって話だよ(笑)。
HxJxM:別に僕は楽器をいっぱい持ってるから、あげても良かったんだけどさ。
Non:それに対してはファックだよ!
Chigilla:Nonはうちの猫の生皮を剥がして殺したんだよ。
Non:どっちがフリッパーズギターを好きかってことで大喧嘩したのさ。
●ホントにクレイジーな連中だな(笑)。T.T.とはどうやって出会ったんだい?
T.T.:僕はシアトルのGAPでアルバイトをしていたんだよ。そうしたら、この3人がやってきて万引きしたんだ。だけど僕は見逃すことにした。ChigillaがThe RamonesのTシャツを着ていたからね。僕の父と母はジャズ・ドラマーで、僕は幼い頃からドラムをやっていた。だけど、ロックバンドをやりたいと思ってたんだ。
HxJxM:ジャズも偉大な音楽だけど、ティーンエイジャーのアートフォームはやっぱりロックだよ(笑)。
●それでEmileに加入したんだね。
T.T.:街を歩いていたら、3人が僕の方にやって来たんだよ。
Non:てめえ、嘘つくんじゃねえよ!
Chigilla:あんたがニヤニヤしながら近づいてきたんじゃないか! それでアタシら
がスタジオに行くっていったら勝手に付いてきやがったんだよ。
T.T.:ハハハ…。万引きは悪いことだって思ってたんだけど、実はEmileに惹かれていたんだ。
●これで4人が集まり、ライブが出来るようになったんだね。
HxJxM:それでBASEMENT BARっていう地元のライブハウスで初めてGIGをやったんだけど、たまたまCoa Recordsのオーナーが来ていてEmileのことを気に入ってくれたんだ。
●このインタビューは日本の雑誌で紹介されるらしいんだけど、日本の印象はどうだい?
HxJxM:ドラゴンボール!! ドラゴンボール!! ドラゴンボール!!
Chigilla:日本のアニメはクールだよ。
Non:貧乏姉妹物語!! 貧乏姉妹物語!!
Chigilla:フフン、Nonは日本のアニメが超好きなんだ。
T.T.:ワビ、サビ、モエー! 僕は日本の萌えをシアトルで広めたいよ!!
●ハハハっ、よっぽど日本が好きみたいだね。そうそう、ジャケットはHxJxMがデザインしたんだって?
HxJxM:実は、僕はアート・ディレクターになりたいんだ。
Chigilla:HxJxMは友達のバンドのフライヤーなんかも作ってるんだけど、わりとクールだよ。
●1stアルバムのジャケットはスカルがモチーフになってるけど。
HxJxM:それは骨になるまでロックをやるっていう意思表明だよ(笑)。
Chigilla:2ndアルバムのジャケットは、アタシがJINDAI BOTANICAL PARKに行ってきて、お花をケータイで沢山撮ってそれをコラージュしたんだ。これはこの世界にある全てのロックンロール・レコードを表現しているの。沢山のレコードがあるけど、君は何枚のレコードを持ってるんだい? ってことなの。
●ところで、Emileってバンド名の由来を教えてくれるかい?
Chigilla:フィーリングっていうか思い付きだよ。ただ、何でEmileって名前を付けたんだろうって思って図書館で調べことがあるの。そこでジャン・ジャック・ルソーの『エミール』っていう本が見つかったんだ。それは教育論の本なんだけど、ルソーは“人間は自然のままが一番でそれに手を加えるとおかしくなってしまう”ってことを書いてる。まるで思いついたまま曲を作って、それをレコーディングしてしまう、このバンドに似たものを感じたんだ。
●なるほどね。じゃあ、最後に日本のキッズたちにメッセージをくれるかい?
Non:遺影を燃やす前に自分を燃やせ!
T.T.:スターバックス!!
HxJxM:僕らはセルアウトをするつもりはないから、EmileのCDは一生懸命探さないと見つからないかもしれない。でもThink Global Act Localの精神でバンドを続けていくよ。後は早く少年ナイフに会いたいよ!
Chigilla:ファック・ユー!