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我輩は猫である 第4回(タレオの恋編-前半-)
2021年3月04日 yukio
我輩は猫である。名前は無くは無い。

姓は眼(ガン)、名はタレオと云う。
ご主人様の隣家の前髪が白髪だらけの男が、とても目つきの悪い我輩に対して勝手につけた名前だ。
そう、我輩は野良猫であったが、幸いにも今のご主人様に拾われて飼い猫になってしまった。
時たま、昔の悪友が餌を横取りしに来て、喧嘩になる以外は
何不自由もない幸せな生活を最近は送っている。
ただ、ご主人様は家の1階の駐車場の隅に段ボールの 掘立小屋を作ってくれて、我輩はそこに住んでいるのだが、家には入れてくれない。
家の中には実は我輩以外の飼い猫が2匹住んでいるのだ。その猫は 我輩のような野良猫上がりではなく、どこからか貰ってきたか買ってきた血統書付きの飼い猫であり、外に出されることはない。
その内の1匹は窓際にベッドをつくってもらって、そこで1日中、空を見ながらゆったりと生活している。
外からチラッとしか見かけたことはないのだが、その猫はメス猫であり、背すじがピンと伸びて、その優美な姿はさすがに一度も外に出たことがない箱入り娘の姿であった。目が金色をしていることから我輩は彼女のことを”月子”さんと呼んでいる!!
隣家の前髪が白髪だらけの男が彼女の生い立ち をフェリス女学院猫科卒の才媛だと言っていたが、猫に名前が無いのに、学校があるわけがない。フェリス女学院に猫科などない! そんなウソっぱちを我輩が信じるはずもないのだが、 信じたくもなるそのお姿は まるで富士山の畔で水浴びをしている
女神ようだった。
月子さんに一度会いたい!
実は我輩はこう思っている。月子さんがどんな生活をしているのか?
優雅な暮らしをしているのだろうな...。
金色の目の下の、鼻から伸びる髭はちゃんと手入れされてるんだろうな...。
我輩みたいに蚤(ノミ)がいつも体毛にまとわりついてかゆくて仕方がないのだけど月子さんの体には蚤(ノミ)ひとつ、ついてないんだろうな...。
と、色々想像してしまうのだ。
ご主人様は何で我輩を家に入れてくれないのだ?
一度でいいから月子さんにお目にかかってみたい...。
タレオにも恋の予感が、、、
(次回につづく)

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