Feb20
土ようのともだち
2021年2月20日 yukio
家にはステレオが無かった。昔の小さなプレーヤーだけがあって、シングルレコードはかけられるのだが、大きなLPレコードはかけたことがなかった。音楽に興味を持ち始めて最初に買ったレコードとは何を隠そう矢沢永吉の「時間よ止まれ」で、ラジオのヒットチャートを地道に上がってきたので興味を持ち始め、その内”時間よ止まれ〜”と歌う部分が何ともロマンチックに感じられ、当時、街に一つしかないレコード屋に行ってつい買ってしまったのだった。

B面がこれまた「チャイナタウン」という曲で、”チャ〜イナタ〜ウン”ともったいぶったように歌う曲も、のちに横浜の中華街に行った時には、よく呟(つぶや)いた。当時、TVで見るのはピンクレディーとかキャンディーズとかで、今はカリスマになっている山口百恵ちゃんとかもほとんど興味が無く、ただ何と無くながめていただけだった。音楽後進者だったのである。

そんな自分に比べ、周りのともだち達は音楽先進者だった。あるともだちの家に行くと立派なステレオがあり、そのスピーカーからは聴いたことのない英語の歌が聴こえてきて、何だか?”ウィ〜ア〜ザチャンピョン ウィ〜ア〜ザチャンピョン”と歌っている気がする?”ドン、ドン、チャ!ドン、ドン、チャ!”とドラムと手拍子が一体となって始まり、歌が入って、最後は妙にはずれたようなエレキギターがかき鳴らされる曲とかを初めて聴いた時には、学校の音楽の時間に習う曲や、TVの歌番組で流れて来る曲と全然違う〜!こっちの方が全然かっこいい〜!と思ったのであった。(笑)

そのともだちの家で聴かされる曲の中にバラードがあった。”オ〜ネティ〜 サッチャ〜 ロンリワ〜”とか何とか歌ってる、ビリー・ジョエルという歌手の曲だと言う、なかなか良い!さらに他の曲がないかと訊(き)いて見ると、ピアノの弾き語りみたいな感じの曲をかけてくれた。こんな洒落(しゃれ)た曲、聴いたことがない!と思った。「ピアノマン」と言う曲だった。自分も家でこんな音楽をステレオで聴きたい!!と思い始めた瞬間だった。ためしに、そのともだちからエアロスミスというバンドのLPレコードを借りて、家の小さなプレーヤーでかけてみた。

ブツ、ブツ、ブツ、、、、

針が飛んでしまった!!!!!レコードを傷つけてしまった・・・・。地獄に落ちるような気分になってしまい

”どうしよう?返せないよ、もう。。。”
と焦ったのだが、肝(きも)を腹(はら)に据(す)えて、レコードを返す時、そのともだちに

”このレコード、傷がついてるよ。レコード針が飛ぶんだもの。”
と言ったところ、そのともだちも”あっ、そう。そのレコードあまり良くないし、もう聴かないから、円盤投げかなんかにして遊ぶよ!”と意に介しない風だった。(笑)そのともだちはお金持ちの子供だったので、助かった〜!と、当時は胸を撫で下ろしたのだった。今、思うとホントすまないことをしてしまった、申し訳ございません!!

そして、そのビリー・ジョエルが新譜を出すと言う。家にはステレオが無く、ラジオをチェックして自分のお気に入りの曲はカセットテープに録音していたのだが、やっぱりLPレコードが欲しい!と思い、何をしたかと言うと、レコードを買ってしまったのであった。(笑)ステレオが無いのに、どうやって聴くのだ!?と思われるかもしれないが、そのエアロスミスのレコードを借りたともだちとはまた違うステレオを持っているともだちにそのレコードをあげて、テープに録音してもらい、そのテープを聴くという手段に出たのであった。今思えば、まったく訳のわからない行動と言おうか、、、挙動不審者と言おうか、、、

意味不明。
そのLPレコードは「ニューヨーク52番街」というアルバムだった。(笑)

その後も、どうしてもステレオが欲しい!という欲求が抑(おさ)えられなくなってしまい、学校の帰り道の途中に新聞配達店があったので、早朝、新聞配達して金を貯めてステレオを買おうと思い、その晩、親にその決心を伝えたところ、今まで”そんな贅沢(ぜいたく)なもの買えるか〜!!”と散々反対して来た親が買ってくれると言う。(笑)よくわからないが、自分の主張が認められたことになったのだ。

ただ、自分が大人となった今思うには、例え新聞配達を当時始めたとしても、長くは続かなかったような気がする。

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