Jan29
現実とほんの少しだけ違う夢
2007年1月29日 YUJIN
現実とほんの少しだけ違う夢を見た。
寝てるときに見るとされている方の夢だ。

殆どの夢は目を覚ました後、その内容を思い出そうとした時点で現実と違い過ぎたり、夢の中にあった物や事柄・人物を現実に存在している同じ物や人物に上手く変換出来ず、そうした事を考えているうちに内容そのものを忘れていく場合が多いのだが、短い眠りの後に見たその夢は、そういう変換の必要もなく、内容や感覚のディテールまではっきりと思い出せた。もちろん普段から忘れない夢というのは沢山あるのだが、夢の中の出来事を、例えば映像や言葉にした場合、実際に見た夢と全く同じ物にするのは不可能だろう。よく、夢の中に色は付いているか、匂いはあるか、などと言ったりするがそのような問自体馬鹿げていて、夢の中での感覚を正確に表現する事など絶対に出来ないと思っていたのだ。

その夢の中で、現実に存在している自分の曲のギターアレンジ、それも二通りあってどちらにしようかと悩んでいた。自分で言うのも可笑しいが、どちらも本当にいいフレーズで単音だったのだが、目覚めて直ぐに実際にギターを弾いたその音と夢の中で繰り返し鳴っていた音、フレットやポジションまでもが完全に一致していた。そういう経験は初めてだったので、夢の中でも覚めた後も本当に興奮していた。
とにかくリアルな夢だった。

なぜ「現実と少しだけ違う」のか?どんな切っ掛けで目覚めたのか?その二つは実は同じ理由によるもので、言葉にする事も可能だ。自分の部屋での出来事だったのだが、あまりにもリアルだったので始め夢だとは思っていなかった。もちろん普段見る夢も目が覚めてから夢だったのだと気付く事の方が多いが、そういう感覚とは根本的に違っていた。起きた後に今のは夢ではなく現実だった、あるいはどちらも夢なのではと思わせるような、とにかく区別が付け難かった。部屋の中の雰囲気、家具の配置や、立ち上がったままのPC、照明器具の向きや光の量、壁に掛けられたダリや、無造作に積み上げられたCD、最近あまり叩いてやれていないジャンべ、相変わらず渋いラッキーストライクの煙、消し方のわからない携帯電話のランプの点滅、音楽用の機材、衣服に染み込んだチャンダン、匂い、、、そしてもちろん持っていたギターの弦の手触りや曲のキー。目覚める前後でそれら見慣れた部屋の風景がまるで難易度の高い間違え探しのように酷似していた。というよりもある部分を除いては全く同じだったのだ。二つのギターのフレーズを弾き比べ、聴き比べ、繰り返し効き比べているうちに、部屋の中で一番大きな窓にかけてある遮光性の黒いカーテンに違和感を覚えた。丈の長さが10cm程短いのだ。それも床側ではなく天井側、つまり窓がカーテンの上から10cm程はみ出した格好になっていて、その向こうには見たこともない景色が広がっていた。それに気付き驚いて目を覚まし、直ぐにギターを持って二つのフレーズを一小節ずつ繋げてかき鳴らした。実はその二つのフレーズ自体もまた、一部分を除いては殆ど同じだっだのだ。
 その曲にはまだ歌詞が付いていなかったのだが、カーテンからはみ出た10cmの窓の向こうに広がった景色について歌おうと思う。





※夢に関するフロイトの説明によれば、目覚めの原因となる瞬間的な出来事によって、一連の長い物語を瞬時に夢として見るのだそうで、それは所謂走馬燈と同じ現象とされている。
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