ショート×3
タイトル どうぶつえん
突然入った休日の午前中を、男は動物園で過ごす事にした。
平日休みなんて殆どなかったから、そんな非日常的な時間を、非日常的な空間で過ごしてみたくなったのだ。
小学生以来、来てなかった動物園は男の心を新鮮な気持ちにさせた。
ゾウ、キリン、カバ、ゴリラ、様々な動物を堪能した後、男はふと、とあるプラスチックケースの前で足を止めた。
そこには「子アヒル」と書かれていた。
その名の通り、子供のアヒルがいるのだろう。
なぜ、子供のアヒルだけなのか?
親アヒルはどこへ行ったのか?
いや、それよりなにより、そのケースが汚い。中が見えない。ベッタリと泥がくっついている。泥の隙間から何かが動いているのは見えるから、恐らく子アヒルはいるのだろう。
しかし動物園は動物を見るためのものだろう? なのに動物が見えないなんて、そんなバカな話があるか!
恐らく飼育員がサボって掃除をしていないのだろう。よし、文句を言ってやろう。
男は近くのスタッフに言い、飼育員を呼び出してもらい、こう言った。
「このケース、汚くて中が見えないよ。」
「大変申し訳ありません。でも、少しは見えるでしょ」
「少し見えてもしょうがないんだよ!はっきり見せてくれよ。」
「お言葉ですがお客様。これが本当の、「見にくいアヒルの子」でございます。」
男の怒りは、白鳥となって大空へと飛んでいっ
タイトル どうぶつえん
突然入った休日の午前中を、男は動物園で過ごす事にした。
平日休みなんて殆どなかったから、そんな非日常的な時間を、非日常的な空間で過ごしてみたくなったのだ。
小学生以来、来てなかった動物園は男の心を新鮮な気持ちにさせた。
ゾウ、キリン、カバ、ゴリラ、様々な動物を堪能した後、男はふと、とあるプラスチックケースの前で足を止めた。
そこには「子アヒル」と書かれていた。
その名の通り、子供のアヒルがいるのだろう。
なぜ、子供のアヒルだけなのか?
親アヒルはどこへ行ったのか?
いや、それよりなにより、そのケースが汚い。中が見えない。ベッタリと泥がくっついている。泥の隙間から何かが動いているのは見えるから、恐らく子アヒルはいるのだろう。
しかし動物園は動物を見るためのものだろう? なのに動物が見えないなんて、そんなバカな話があるか!
恐らく飼育員がサボって掃除をしていないのだろう。よし、文句を言ってやろう。
男は近くのスタッフに言い、飼育員を呼び出してもらい、こう言った。
「このケース、汚くて中が見えないよ。」
「大変申し訳ありません。でも、少しは見えるでしょ」
「少し見えてもしょうがないんだよ!はっきり見せてくれよ。」
「お言葉ですがお客様。これが本当の、「見にくいアヒルの子」でございます。」
男の怒りは、白鳥となって大空へと飛んでいっ
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