eSSence

eSSenceがeSSenceとして、本格的に始動したのは、2011年の東北大震災の後の話である。
エッセンス本拠地、青森県八戸市も被害は少なくは無かった。コンポーザー、神凪琉榎の自宅は海から５分という場所にあったために、建物は津波の被害をモロに受け、あたりは無残な光景を残したのである。その数日間で目にした光景、そしてその時感じた胸の熱い感じは、思い起こせば今なお蘇る。
eSSenceはこの苦境の中で生まれた音楽ユニットである。
以前からこういった音楽スタイルが好きだったということは確かに否定は出来ない。しかし、この苦境こそが、eSSenceの核に魂を、火を灯したことは間違いない。
時に社会を歌い、時に生の尊さを問い、そして愛を叫ぶ。それがeSSenceの音楽スタイル。
そこに細かな小細工が必要であるとは、今のところ思っていない。
単純、シンプルなこの白黒付いた、Sakeと神凪琉榎の二人だからこそ、このeSSenceが成り立つ。

例えばボーカル収録中の二人の様子は、良いテイクが生まれた瞬間の盛り上がりは最高潮でありながら、例えば暗くヘビーな楽曲であれば、その雰囲気に１００％酔いしれるべく、気持ちはズンズンと下降しながら、そこには確かな世界が創造されている。
そして結成から年々サウンド的進化を続けてきたeSSenceは、これからも次々とその世界を構築しながらも、社会、生命、愛を貫くというシンプルかつユニークなスタンスは、決して揺るがないことだろう。