変わらず 冷え込んだ空気が ざわめく あまりにも無造作な 手に揺らされ
その光景を 小さなベンチに座り 一人眺めている 小さな女の子
どうして そんなに急いで
この場所を過ぎ去ろうとする
水面は不規則な模様
木々はせわしなく首を振り
鮮やかな光の中で
新しい季節を運ぶ 風なる使者
少し焦らしながら ただ確実に
絶妙なスピードで
背伸びを決めこんだ 連なる若人の群れ
我先に張り上げる 出発の雄叫び
まばゆさに尻込みをしている
トートバッグを大事そうに抱えるあの子
その時 無表情のまま
ただ その激しさがゆえに
さらっていく その先へ
新しいステージへ誘う 風なる使者
選りすぐる術など 持ち合わせちゃいない
この有り難きボウクンに何度救われただろう 誰の見返りも求めない
誰のワガママも聞かない
ただ 決まられた季節を 淡々と
まだ硬めのブーツに ぎゅっと足を差し込み
ぐっと肩を怒らせ 広めの歩幅で
始まりの季節とか 出会いの季節とか
ちょいと乗ってやろうじゃない
怪我しない程度に
誘われるがまま