陽炎
例えば季節の花は
明日にはひらり舞い散る
幻に魅せられた蝶
永遠の瞬間

かくれんぼだって苦手な蝶
憂鬱な春だって風が吹いた
黒い七つ星のにおいがして
季節は移りゆく...

棘を刺すような香り
紫の蜜
死に迫られる快感
禁じられたかな

羽を何処かに失くし飛べない蝶
憂鬱な春の風が空に舞い上げる
錆びた刹那の結晶を己に秘めたまま
また未練を残した

今宵も天邪鬼かな
陽炎がゆらり消え去る
枯れ落ちた花は愛せない
永遠の闇

嗚呼、錆び付いて戻れない二人
嗚呼、揺れて消えてゆく
陽炎かな...