春先の雪が窓を打ちつける
その音だけがからっぽの部屋に響いている
床に寝そべりながらぼんやりと
飽きるまで聞いている
雪の音色を
黒い雪が降り積もり
とけない澱となり底にたまる
気づかないうちに眠って
少したって目を覚まして
明かりが消え闇が訪れた
心静かに空気の流れを感じていた
厚いコンクリートの壁に囲まれて
それだけで守られている気がした
天井を突き抜けて
淡い月明かりがあたりを照らす
気づかないうちに眠って
少したって目を覚まして
凍えて 視界が白くなる
雪に包まれる
かじかむ 指先をのばせば
明日に触れる
雪が静かに窓をなでている
つま先からその冷たさを感じる
立ち上がって窓を開ける
雪が頬をやさしくかすめていく
空を見上げ
気づかないうちに泣いて
少したって笑い出して
それを繰り返していく
そして前に進んでいく