雨上がりと金木犀
「さっきまでの雨が
嘘みたいだね」
君はそう言って
濡れた目をこすった

金木犀の花が
やけに綺麗で
僕は気付けなかった
その手の傷も

青空でもここは寒くて
凍えてしまいそうだ

泣き虫の空には虹かかり
見上げた僕たちはちっぽけだ
泣きやむ足元に水溜まり
笑って別れた胸が痛むよ

痛むよ

さっきまでのことが
嘘みたいだな
僕はそう思って
じっと目を凝らした

感傷的になった心は
壊れてしまいそうだ

なんにも起こらない昼下がり
金木犀の匂いがするよ

泣き虫の空には虹かかり
見上げた僕一人ちっぽけだ
最後に君が見せた笑顔を
思い出して胸が痛いよ

痛いよ