カナリア
覚えのない罪で捕まって男はあと十年牢の中
ただ一つだけ救われたことに
小さな窓が一つだけ付いていた

窓の外から一羽の鳥が綺麗な声で一声鳴いた

「もう一度だけ鳴いてくれないか」

それからその鳥はどこからか
男の元に毎日やってくる
ちぎったパンの欠片をやりながら
男は鳥に話しかけていた

どこからここにやって来たのか
真冬の空は寒くは無いか
そして毎日最後に一つ
同じ言葉をつぶやき眠る

「もう一度だけ鳴いてくれないか」

今日でお前と会うのも最後
この日を祝い鳴いてくれないか

「もう一度だけ鳴いてくれないか」