真夜中のビスケット
笑わせるな 秋風はまだ寒くないが
朽ちた枯れ葉がひどく自分に見えた夜
泣かせるな 名前のわからぬ歌だけど
虫たちは 今日も歌う 愛しき者を求めて
誰もいない星が蹴られて流れてく
こんな黒い空の下 いつかのフィルムのように
真夜中のビスケットかじって 姿を消した白いうさぎ
気まぐれなあいつは どこへ行っちまったんだろう
タイムカプセルにさよならの 答えのかけら探して
そんな悲しいパズル 解けやしない

聞こえてくる 秋風の慰めの奏で
折れた小枝が心に刺さった冷たい夜
何故かしら どんな歌ひとつ歌えないけど
それでも 今夜は歌う 愛しき者の元へ
そんな声さえも丸ごと飲み込んで
なにもかもを消してしまう 大きなブラックホール
真夜中のでキャンディー全て 一つずつ指でなぞったら
気まぐれなあいつが 誰よりも笑ってた
形を持たぬ雲たちよ どうして窓を閉めるの
始まりの砂時計が 終わりを迎えた

何度夏を数えても 空に浮かぶ月に暮らすのは
似ても似つかない 別のうさぎ