棘と愛と蛇と月
棘と愛と蛇と月



天竺から流した折鶴の舟は 
川面に漂う蛇の様
闇と静寂を切り取る月迄も 
飲み込んでいきそうな水の音

春夏秋冬に想いを馳せるなら 
何時の時代も宵の刻
彩られた嘘を浄化させるなら 
寂寥の洛陽の赤

速くなる脈が 意味する事を もう何一つ 伝えてはいけないの?

浮遊した煙草の煙迄 消してしまう程の現実に
もはや空の色など関係ないの?
ひらりひらりと眼に映った貴方の 
ほんの数秒の残像に
無理矢理突きつけた愛と棘



空間を歪ましている真夏の蜃気楼は 
現世とあの世を繋ぐ門
 貴方がその罪を浄化したいなら 
いっそのこと飛び込んでしまえばいい
例え先に逝っても私の毒牙は 
貴方を決して離さないわ

愛の形が どうであれ 燃え尽きる迄 傍に居させて

明日を誓った透明指輪 距離と時間が左右する
多分感情など皆無でしょう


貴方のその声だけに慣れすぎて 
他に代わりなど いないわ


浮遊した煙草の煙迄 消してしまう程の現実に
もはや空の色など関係ないの?
ひらりひらりと眼に映った貴方の 
ほんの数秒の残像に
無理矢理突きつけた愛と棘