上手くおねだり できないで
親指溶けるまで しゃぶってた
乱暴にした人形は
片隅で首が 転げていた
あぁ 小さな手で 揺らしていたのは
無理矢理 押し込められた
明かりの無い部屋
あぁ 誰も 気づきはしないから
ひとり 言いきかせるように
口ずさんだ子守唄
可愛がってた文鳥は
籠で暴れ過ぎて 死んじゃった
覗き見した襖からは
ママの首筋が 汗ばんでた
あぁ 小さな手で 寝かしつけてた
悪夢のような痣と
届かない叫び
あぁ 誰も 愛せはしないから
ひとり 生き抜いてこうと
誓うしかなかったの
ママが優しく名を呼んだ
嬉しさと恐怖で はにかんだ
この世は 大人の都合で できていると
悟った 五歳の日