息継ぎを忘れたスイマー 20130331
溺れる僕を引き上げて
おなかでも押そうものなら
吹き出すのは水や魚じゃなく
大量の言葉だけ
僕は言葉の海で溺れてる
いつからずっとこんな具合だろう
やっとつかんだ浮木も
それもまた言葉だった
水を吸った衣服のように
言葉がからまって邪魔をする
この頭の中の一体どこに
これだけの言葉が入る
息継ぎを忘れたスイマー
好きだったはずの言葉たちが
胸を突きさして穴を空ける
それなのに、胸は詰まる一方だ
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この違和感はあのいつかの
なおりかけのかゆみにも似てて、
ひざの痛みにも似てて
心当たりはなくもないけど
それでもみつからないから
いやになって、尾びれをむしる
どうにでもなれと爪立てたとき、
付け根に何かが見えた
上手くいかない息継ぎは
何かが変わるその合図で
はじめ陸に上がろうとした魚の
それと同じで
息継ぎを忘れたスイマー
溺れる弱さも、不器用さも
今だけの自分なんだとすれば
こんなにも愛しいものはない
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息継ぎを忘れたスイマー
好きだったはずの言葉たちが
胸を突きさして穴を空ける
それなのに、胸は詰まる一方だ
それでも丁寧にかき分けて
今日も言葉の海を泳ぐ
途中何度も溺れかけて
顔を出すけど、生えてきた足をなでて
息を吸い鼻をつまんだ