届かない この想いならば
せめて優しい腕の中に
バスの吐く煙がいかないように
月の光が誰よりも差すように
今頃はあの小高い丘の上で
膝を抱えて四ツ葉を探すのかい
小さな体をたくさん広げて
どこかへ連れ出しておくれ
笑いかけておくれ
奴が君の名前を呼ぶ頃には
金木犀の香りに顔はもう ない
夜の藍に手を触れて差し出せば
茜に引いてもらえるかい
それとも星の終わりかい
いつかまたここで
この店の窓の向こうで
いつか見た子供をあやす君と
両手に荷物を抱える誰かと
広告のような後ろ姿に
さよならの手を振ろう
誰にも気付かれぬよう
あぁこのまま
時と 共に
おやすみ またね
おやすみ またね
おやすみ またね