ゆらゆらと泡上り 弾けて消えた
月兎照らす顔 深い海のよう
散らばった硝子玉 身を寄せて眠る
孤独など感じない 知るはずもなかった
その羽はまるで、飾りのように軽く
ひらひらと、はためかせた
皮肉な蝶たち。
夢の底 古い唄 いつか途切れた
あの空は自由なの? 何処まで行けるの?
果てしなく続く事は怖くはないの?
少しだけ目を閉じて、連れ出してくれるのなら。
夢見る事など、知らずに生きていた。
何一つ残さずに、終わり行くだけだと。
まだ見ぬ世界へ、戸惑う手を引いて
振り返るそれすらも、今は惜しいと信じて。
閉じ込めたのは他の 誰でも世界でもなく
私を恐れた私だと それでも笑いはしない
胸の奥に張り付いた 鱗はもう剥がれ落ちた
広げた両ヒレは力強く あの空を目指して羽ばたく。
大きく、どこまでも、泳ぎなさい。
もう戻れない。 遠ざかる、
あの水槽には、水もない。
夜明けを待たずに、星の向かう方へ。
乾いた体を包む、雨もいつか降るでしょう。