楓クロニクル
秋の夜 楓は
見上げた星に 恋をした

どうにか星に 気付いてほしい
楓は そう願った

瞬く星の 光を浴びて
この葉を 黄色に染めたら

風よ届けて 空の彼方へ
木の葉は ひらりひらり 空に舞い上がる

最後の葉も 散り尽くすと
葉は静かに 降り積もった


それでも楓は 諦めなかった
葉の形も 星を真似て

いくつの秋を 繰り返したろう
楓が そっと枯れるとき

凍りつく空に 大きな弧を描いて
小さな星が きらり 流れては消えた


時は流れ 楓の子らは
何も知らず 今日も色付く