不機嫌そうな雨が
濡らす 笑うように
プールサイドに俺は立ってた
降りしきる 午後三時の焦燥
八月の雨は大嫌いと、
思った。大嫌いだ。
喧騒中毒者たちは いまにも
いなくなってしまいそう
夕焼けはなぜ赤いの?
と聞いたあいつを不意に思い出す
夕立避けて走り出す
空は、赤く染まりゆく中
高いビルの
フェンス越しに
あの日を眺めていた
過ぎ去った感情は
止めどなく俺をあざ笑うんだ
ふらついて 背中を
そこに預けて 風を感じていたのだ
ここで夏を知っているのは
俺だけなんだろう
飛行機雲の跡残る季節に
なると思い出す
押殺した感情を投げだして
駆けた あの時を
引きずった感傷を
振り切って存在を
忘れてしまえば
すり減った靴底の
スニーカーもYシャツも
乾いてしまった