夕闇に囚われお悔やみ
甲斐もなく皆目分からず
行く背には何を背負いしも
戻るにはまるで足りませぬ
いつぞやか
阿、いつの間にか
吽、こんなにも
折る指を数えて
一は杭
二は鋏
惨憺たる狂の色
四は罪
五は罰
六畳間は赤く染まる
七は恋
八は檻
糾明する声は無し
十を過ぎ、嘲笑する
愛憎 飼い馴らす 魍魎
易々と、現れ御出まし
薄笑い、咲く柳の下
あちらからこちらの境で
見る夢はここにありませぬ
どこからか
阿、赤く熟れた
吽、甘い香を
振り撒いて、斯き切る
時は、移り気
胸に、移り香
興醒めす、邂逅の中
心に杭打ちつけ、指刈り取る鋏
一は杭
二は鋏
惨憺たる狂の色
四は罪
五は罰
六畳間は赤く染まる
七は恋
八は檻
糾明する声は無し
十を過ぎ、嘲笑する
愛染、身を焦がし燃える
嗚呼、行かないでお願い
哀れみを頂戴
儚き物語