遠い異国で争いが起きたとネットで言ってた
毛布の中で腐りかけた僕はそれを聞いて
なんだか妙に悲しくなって、やりきれなくなって
浮かんだ言葉を歌にしてからバイトに向かった
他人事の様に笑う他人と あどけない顔した野良犬
願いをかける少女 嘘の様な現実
世界を救う様な歌を作ろうとした
だけど僕達はあまりに無力で
千切れた足を探す
子供を抱いた母親
何気なく配信したその歌を受け取ったのは
名も無き街で銃を振りかざす若き兵隊
言葉はわからないがノスタルジックな音色が
やけに懐かしくてトラックの中、口ずさみ眠った
妻と娘の寝物語に聞かせた遠い異国の歌
罪を忘れる様にと撫でては唄った
少女と同じ名前の花が咲いている地雷原
50m先に転がった通信機とヘルメット
天国にいるだろう両親に繋がる気がして
見よう見まねで、声を届けようとした
「パパ、ママ、聞こえる?
街は無くなっちゃったけど
あの時の歌を歌える様になったの」
焦げ付いた髪を垂らし 少女は命を歌った
それは異国の司令部から 世界中に響いた
少女が息絶えるまでの三分間は
聖なる光が包み込む様に
粉雪が空を舞って
争うその手が止まった
奇跡の様な三分間でした
誰もが大事な人の幸せを
願っては祈りました
どうか、どうか笑っていてと
全ての争いが止まった、その時
想いは溢れて 言葉が途切れた
明日になれば僕ら
殺しあうのかもしれない
けれど確かに、確かにあった
世界を救う、そんな歌が