急に降り出した雨に 光る町をすり抜けて
雨宿りできる場所まで 僕らは少し走った
空で鳴く雷鳴とアスファルトを叩く雨音と
濡れてはしゃぐ 子供たちの声が
雨をやり過ごしている 僕らの間を今
すり抜けて通り過ぎた
手に入れたものがあって 失ってしまったものがある
そのどちらの方が重いとかではないんだ
雨の残した香りは変わらずに
あの日と同じように 夕暮れを彩る
光る町に吹く風が この胸 焦がすのは何故
僕らはただ眺めて 雨をしのでいた
夕立ちが運んだ来たのは埃の匂いじゃなくて
君と僕が知らぬ間に築いた壁の隙間を照らして
そっと埋める大事な何かを動かした
あのビルの隙間に見えて いたはずの星達の群れの
瞬きは街灯の光で 消えてしまった
一瞬の重なりで描く未来図に
変わらずまた笑い声が 響くように
繰り返した一瞬が やがて熟して行けばいい
僕ら雨上がりの町を 遠回りして帰った
滴で光る町に 生まれたての風が吹いた
帰り途中の僕らは おそらく同じことを考えているのだろう
あの頃見えた景色は 変わらず胸の奥にあるから
今だから描ける地図を描こう
夕立が残した香りは変わらずに
あの日と同じように 夕暮れを彩る
街灯は等身大の僕らの影を映して
夕空には白い月がポカリと浮かんでいた