昨夜も夜勤で、睡眠不足のまま新宿ジャムへ向かう。
コンディションを考え、できる限り早く寝ようと試みた。
…ところが…
「奴」に出くわした。
そう、温かくなった時期に颯爽と現れ、本来特に害はないはずなのに、全人類から忌み嫌われる太古の生物。
あの生命力を称えて、あえて
「先輩」
と呼ばせてもらうことにしよう。
昨夜、そろそろ寝ようかと、思った時
先輩は突然現れた。
先輩は普段ならキッチンなどの水回りに現れるはずだが
昨夜の先輩は部屋の真ん中を散歩していた。それはもはや威風堂々とし、王者の貫禄すらある。
リラックスしていた私は、ふいに遭遇した先輩に驚き
反射的に
部屋の外に飛び出してしまった。ほんの少し奇声を上げながら。
今年の先輩もやはり動きにキレがある。みなぎるような生命力だ。
だが、人生には負けられない勝負もある。
そうだ、これは戦争だ。狩るか狩られるか、私と先輩の生き残りをかけたサバイバルだ。
対先輩用のスプレーを片手に私はもう一度部屋に戻った。
しかし先輩の姿は見えない。
そうなのだ
先輩は一度見失うと、なぜか目視が困難になる。きっとどこかで息を潜め、私の緊張をせせら笑っているのだろう。
こうなると道は一つだ。
私は至る所にスプレーを振り掛けた。
そして耳をすます。
私の攻撃がかすりでもしたなら、先輩の動きは激しくなる。まるで断末魔をあげてるかのように、先輩は身もだえする。
私は五感の全てを使い、先輩を捜す。
…しかし…
物音一つしない。
まさか私の攻撃がかわされたのか?
さらにスプレーをかける。
でもダメだ。
すでに遭遇してから戦闘は30分も続いていた。
いつもなら、先輩の気まぐれに付き合うのだが、なにせジャムフェスがある。早く布団に入らねばならない。
とはいえ、このまま我が家を先輩の散歩ルートに指定されるわけにはいかない。
…カサ…カサカサカサ…
布団に入ってから聞く先輩の足音は、まるで忍び寄る悪魔のようだ。
時計はすでに朝4時を回っていた。もうすぐ小鳥がさえずり始める時間。
私はしかたなくサバイバルから降りた。
先輩が縦横無尽に我が家を散歩するかもしれないが、今は先輩と遊んでいるわけにはいかないのだ。私にはやるべきことがあるのだ。
あえて言うならば昨夜の敵が先輩なら
今日の敵は
「自分」
なのだから。
布団に入ってから10分ほどは、異常なまでに私の聴覚は研ぎ澄まされていたが、いつしか私は深い暗闇の中に落ちていった。
そして目覚ましの音で起きた。
起きた瞬間に先輩の気配を探ったが、やはり先輩は感じられない。
先輩はどこかに旅立っていったのか?
…それとも…
〜第二章に続く〜
コンディションを考え、できる限り早く寝ようと試みた。
…ところが…
「奴」に出くわした。
そう、温かくなった時期に颯爽と現れ、本来特に害はないはずなのに、全人類から忌み嫌われる太古の生物。
あの生命力を称えて、あえて
「先輩」
と呼ばせてもらうことにしよう。
昨夜、そろそろ寝ようかと、思った時
先輩は突然現れた。
先輩は普段ならキッチンなどの水回りに現れるはずだが
昨夜の先輩は部屋の真ん中を散歩していた。それはもはや威風堂々とし、王者の貫禄すらある。
リラックスしていた私は、ふいに遭遇した先輩に驚き
反射的に
部屋の外に飛び出してしまった。ほんの少し奇声を上げながら。
今年の先輩もやはり動きにキレがある。みなぎるような生命力だ。
だが、人生には負けられない勝負もある。
そうだ、これは戦争だ。狩るか狩られるか、私と先輩の生き残りをかけたサバイバルだ。
対先輩用のスプレーを片手に私はもう一度部屋に戻った。
しかし先輩の姿は見えない。
そうなのだ
先輩は一度見失うと、なぜか目視が困難になる。きっとどこかで息を潜め、私の緊張をせせら笑っているのだろう。
こうなると道は一つだ。
私は至る所にスプレーを振り掛けた。
そして耳をすます。
私の攻撃がかすりでもしたなら、先輩の動きは激しくなる。まるで断末魔をあげてるかのように、先輩は身もだえする。
私は五感の全てを使い、先輩を捜す。
…しかし…
物音一つしない。
まさか私の攻撃がかわされたのか?
さらにスプレーをかける。
でもダメだ。
すでに遭遇してから戦闘は30分も続いていた。
いつもなら、先輩の気まぐれに付き合うのだが、なにせジャムフェスがある。早く布団に入らねばならない。
とはいえ、このまま我が家を先輩の散歩ルートに指定されるわけにはいかない。
…カサ…カサカサカサ…
布団に入ってから聞く先輩の足音は、まるで忍び寄る悪魔のようだ。
時計はすでに朝4時を回っていた。もうすぐ小鳥がさえずり始める時間。
私はしかたなくサバイバルから降りた。
先輩が縦横無尽に我が家を散歩するかもしれないが、今は先輩と遊んでいるわけにはいかないのだ。私にはやるべきことがあるのだ。
あえて言うならば昨夜の敵が先輩なら
今日の敵は
「自分」
なのだから。
布団に入ってから10分ほどは、異常なまでに私の聴覚は研ぎ澄まされていたが、いつしか私は深い暗闇の中に落ちていった。
そして目覚ましの音で起きた。
起きた瞬間に先輩の気配を探ったが、やはり先輩は感じられない。
先輩はどこかに旅立っていったのか?
…それとも…
〜第二章に続く〜
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