トンボ

とあるスタジオでひっそり働いてる俺。
どうやら今日の最初のお客はビジュアル系セッションバンドのようだ。
仕事するふりをしながらお客の話を盗み聞きするのが日課である。


Ｖ系ドラマー
『俺も最初はエックスのウィークエンドからコピーはじめてん！』

Ｖ系ギタリスト
『まじっすか？俺もエックスでしたわ。っていうかーＹＯＳＨＩＫＩってドラムうまいんすかぁ？』

Ｖ系ドラマー
『あいつぅ？うまないで～。リズムとか普通やし全部いっしょやでぇ、へきゃっしゅ。』

Ｖ系ギタリスト
『やっぱりぃ？早いだけっすよねぇーキャハハン』


俺　『・・・。』

分かっていない。みんなＹＯＳＨＩＫＩのことを分かってない。
彼は上手いとか下手だとかじゃない。そんなことはどうだっていいんだ。
そんなことはどうだっていいんです。
青年達よ、彼の瞳の奥をよく覗いてごらんなさい。
見えるだろ？ほら見えるだろ？彼はそこだけを見つめてそこだけを目指してるんだ。
そう・・・エデンの園を。ART OF LIFE!!


Ｖ系ドラマー　『すいませーん、会計おねがいしまーす。』
俺　『はーい、ありがとうございまーす。』