松本さふらん

　「なまえ」という曲を録音しました。
　ギターとピアノと歌のシンプルな掛け合わせで、なかなかかわいいやつです。

　この曲を作ったのは三年も前のことで、なんか“なまえ”について考えていたのでした。
　どうも名前を知ることはその事物を“所有”することに似ているなあと。
　名前を知らなくても困らないんですけどね、知らないなりの“関係”というものがある。
　このあたりの事情は男女差で見てみると、ほら「男は所有を求め、女は関係を求める」という言説があったでしょう。
　あくまで私観ですが女のひとは名前に無頓着なことが多いと思うのです。花柄の服を着ていてもその花が何なのかには興味がなさそうだ。
　小生は花柄の服は着ませんが(笑)家のまわりの草花の名はきいたり調べたりして覚えているのです。鳥については元々好きなので言わずもがなです。
　男は花を身につけたりはしないが興味あるものは名前をおぼえることで自分の頭にしまっておく、
　女は名前をメモしたりはしないが花を自分のまわりにかざって常にそれと関係を持つ、ということじゃないかなあと。
　名前を知ったなりの付き合いがあって、また名前を知らないからこその愛もあるわけで、おもしろい心理だなあと僕なんかはおもうのです。

　まあ理屈をこねればこんな感じですが、この詞を書いたきっかけは、旅先で花柄の服を着てリュックに鳥のアクセサリーをぶらさげた女の人の後ろ姿をながめていたことなんですね(汗
　うむ、あれは出雲でのことだった。当然名も知らない通りすがりの人なんですが、あれからいい縁があったのかなあと想ってみては鼻をすするふりなどをするのです。

　ええ、なかなか出来のいい曲だと満足しているんですよ。こういうかわいい時間(音楽)を作りつづけていきたいもんだ。
　この曲がたくさんの人と関係を持ってもらえることを！