「昨日、我が君より軍を進めるよう申し越されたのでござるが、思わしい計略も考えつかず困じ果てておる次第。何とぞお教え下され」
「それがし如き凡才に、左様な妙計なぞあろうはずもござりませぬ」
「それがし曹操の水上の陣地をうかがって参ったのでござるが、いちいち兵法にかなった陣取りにて、うかつに掛れぬと見ました。それで一計を思いついたのでござるが、果して良いものかどうか心許のう思われるので、先生のご意見をうかがいたいのでござる」
「都督、ここは言わずに、互いに掌に書いて、互いの考えを見ることにいたそうではござらぬか」
周瑜は喜んで筆と硯を取り寄せると、先ず自分が書きつけ、次に孔明に筆を渡せば、孔明も人目を避けて書きつけた。二人は床几を寄せて、掌を見せ合うや、同時にからからと笑い出した。周瑜の掌中の字が、『火』と一字あれば、孔明の掌中にもまた『火』とあったのである。(『三国志演義』第四十六回より)
「それがし如き凡才に、左様な妙計なぞあろうはずもござりませぬ」
「それがし曹操の水上の陣地をうかがって参ったのでござるが、いちいち兵法にかなった陣取りにて、うかつに掛れぬと見ました。それで一計を思いついたのでござるが、果して良いものかどうか心許のう思われるので、先生のご意見をうかがいたいのでござる」
「都督、ここは言わずに、互いに掌に書いて、互いの考えを見ることにいたそうではござらぬか」
周瑜は喜んで筆と硯を取り寄せると、先ず自分が書きつけ、次に孔明に筆を渡せば、孔明も人目を避けて書きつけた。二人は床几を寄せて、掌を見せ合うや、同時にからからと笑い出した。周瑜の掌中の字が、『火』と一字あれば、孔明の掌中にもまた『火』とあったのである。(『三国志演義』第四十六回より)
コメントを投稿するにはAudioleafへログインしてください。