Nov8
ギャンブラー
2008年11月08日 TOM
なんなのだ



一体なんなのだ。




自分のくじ運のなさに、ほとほと嫌気が差す。



競馬、パチスロ、麻雀などギャンブルの類はトムは一切しない。

自分が向いてないことを知っているからだ。というよりも、そう思っていること自体が、むいていない証拠なのだろう。



近所にある、トムがいつも行っているスーパーでのことである。

二階建てで、なかなか大きいスーパーだ。品揃えも良い。いつもそこで買い物をする。

そのスーパーには会員カードなるものを発行することができる。年会費は無料だ。そのカードを持っていると、日代わりでいろいろな品が値引きされたりする。そして、買い物をするごとに、ポイントが溜まっていく。ポイントが溜まると何が起きるかは、未だに不明である。

不明ではあるが、ストレス以外は溜めたくなるのが人間の性(さが)というものである。会計の際には、いつもその会員カードを提示してポイントをつけてもらう。



ところで、そのスーパーには面白いシステムがある。

スーパー内のそこかしこに、ATMのような機械がある。買い物をしなくても、その機械で一日に一回、くじができるのである。

その機械に会員カードを読み込ませると、画面に六つの?マークが出る。六つのうち一つを選んで画面をタッチする。一等は20ポイント、二等15ポイント、という風に、出た賞によってもらえるポイントが変わってくる。

買い物に来るたびに、ウキウキしながらこのくじをするのである。



ウキウキしていたのだ。そのはずだった。



しがしながらだ、

このスーパーに来始めて半年、

五等と六等しか出ないのである。



なんなのだ、一体。



六等は1ポイント、五等は2ポイントである。まぁそれでも良い。ただでもらえるものであるし、わずかながらのどきどきも味わえる。

しかし、半年間でこの結果はなんなのだ。

先日などは、真横でくじをやっていたおばちゃんが三等を出しやがったのである。

「あら、三等だわ。うふふふ」と、勝ち誇ったような笑みをトムに向ける。

ふつふつと沸き起こる怒りを押さえ込み、とりあえずその場はおばちゃんに向かってバリトン声で「コングラッチュレーション」と賛辞を述べ、祝福の微笑みを返しておいた。

よ~し、見ておけ、この主婦め。サンマの大量摂取によって培ったトムのこの千里眼を。だてにDHA摂ってないのだ。ギャンブラートムの力をみさらせぃ。

そう意気込み、サンマの魂を込めた渾身の人差し指でボタンをタッチする。



「五等!2ポイント!」



なんなのだ。



トムが何をした。こんなにこのスーパーに貢献しているというのに。



こうなったら戦争なのである。

これをこのスーパーからのトムへの挑戦状と受け取り、徹頭徹尾、戦っていくことをここに誓う。



よし、明日こそ、勝ちに行くぞ。



ギャンブラー・トムとスーパーの、仁義なき戦いが、始まろうとしている。
コメントを投稿するにはAudioleafへログインしてください。