Nov4
瓦解する自戒
2008年11月04日 TOM
しまった



しまったのである。




私トム、「自戒」というものをいくつか、自分に課している。

そのうちの一つが、‘ドーナツは一週間に一個まで’、というものである。




甘いものが大好きなのである。

ケーキ、パフェに始まり、プリン、バームクーヘン、フィナンシェ、エクレア、シュークリームetc...。特に、生クリーム的なものに目がない。そのままチューチュー吸っていられるくらいだ。というか吸っていたい。というか風呂釜一杯の生クリームにダイブしたい。そこで思う存分、バタフライしてやるのだ。プレイ的な話ではない。トムはそっち方面の趣味はない。本当に、食べていたいのだ。



そして、数あるスイーツの中でもベスト3に入るくらいに好きなのが、ドーナツである。

トム自身の中で、敬意を込めて‘ドーナツ様’と呼んでいるくらいだ。




特に、○○タードーナツは最強だと思っている。中でも、生クリームが間に挟みさらにチョコでコーティングしてあるやつが大好きだ。商品名にちなんで、敬意を込めてトムは‘天使のさえずり’と呼んでいる。

あれをコーヒーを飲みながらゆっくりと食べている瞬間は、もう至福といっても良い。



しかしながら、ある日ふと気になってドーナツ一個のカロリー量を調べたことがある。

カロリー量を見て驚愕した。というより、ドン引きした。

一個でこんなにもカロリーを摂取してしまうのか。

こいつはまずい。まずいのである。今のままの摂取ペースを続けていたら、確実に早死ぬ。糖尿的なシンドロームに陥ること請け合いである。




そいうわけで、しぶしぶながらトムは自戒を課した。‘ドーナツ様は、一週間に一個’。



時は経ち、先日我が心の拠り所・○○タードーナツから新商品が発売されたのである。テレビのCMでその情報をキャッチしたのだが、、、

もう、見るからに、美味しそうなのである。生クリームがはさがっている。

最強じゃないですかと。世紀の大発明じゃないですかと。



数日後、ウッキウキで○○タードーナツに足を運び、ちょっと突っ込み気味で例の新商品を注文する。



一口食べた瞬間、戦慄が走った。



体中の血液が、音を立てて沸騰する。全身の毛穴という毛穴が、大口を開けて開放される。

その感動は筆舌に尽くしがたい。

その存在はもはや、神々が人類に与えたもう禁断の果実。

これを、‘神々の憂鬱’と名づけることにした。






その日はこぶしを握り締め、唇を噛み締め、一個で我慢した。

しかしながらその数日後、一週間経っていないにもかかわらず二個食べてしまったのである。つい。うっかりと。無意識に。自戒も忘れて。



はっ、とした。

しまった。

しまったのである。




あれだけ自らに強く課した自戒は、神の前にやすやすと崩された。



むぅ、しかたがないのである。



相手は神。立ち向かうだにおこがましいというもの。

逆らってはいけない。




こう自分に言い聞かせ、トムは明日も神に立ち向かうのだった。




  おいしいなぁ     このドーナツ様。
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