THE ROMANCE JOE

うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうるさい。



うるさいのである。




なんなのだ。


いったいなんなのだ、この騒音は。



ここ二週間ほど、トム家に騒音被害が出ている。
実際に被害届をだしているわけでもなく、管理人に文句を言いに行くようなクレーマークレーマーではないので、‘騒音被害が出ている’は過言である。
あくまで、トム内において騒音被害が出ているということである。




トムが大好きな、もはや命を懸けていると言っても過言ではない睡眠をむさぼっている朝、それは突然やってくる。



まず、マンション中に轟くような、‘トンカントンカン’という音が襲ってくる。

‘トン’という重低音と、‘カン’という中高域音

つまりドンシャリ音が襲い掛かってくるのである。



この‘トンカントンカン’がしばらく続いた後に、こんな掛け声があがる。

‘ローーール！！’

それに追従するように、こんな声が後に続く。

‘オーバー！！’ ・・・



なんなのだ



そのやり取りは。



この‘ローーール！！’・‘オーバー！！’がうるさいのである。




夢の波間に漂っている中、まず‘トンカントンカン’のリズムが暗闇の向こうから差し込んでくる。

これにより、不承ながらトムの意識は現実に一歩近づく。

次に、夢と現実の狭間に揺れるトムの頭の中に、繰り返される‘ローーール！！’・‘オーバー！！’の掛け声。

これにより、不承ながらトムの意識は完全に覚醒する。



なんなのだ



このマンションは何の工事をしているのだ、一体。

もう何日も、この騒音に覚醒を許している。





これより、明日管理人室に提出すべく、具申書を書く。

抗議だ。デモだ。




こんな騒音嫌がらせなんかに

トムは

負けないんだからっ。