Nov23
画家と画材と百万の動物たち
2007年11月23日 dididaのディディダ
その小人は盗んでいく。
人々の感情を盗んでいく。
深い森の中にそれを埋める為に。
それを隠すために。


大都心。
様々な種類の人々がスクランブル交差点を行きかっている。
スーツを着た者。制服を着た者。ギラギラと輝くドレスを着た者。
唯一の共通点と言えば、彼らは一様に目を持っていない。
黒目がないんだ。
そして彼らはぶつかる度に死体みたいに倒れていく。

その足元をすり抜けるように走る小人。


妖精と話し続けてる詩人。
でもホントは妖精なんていないんだ。
彼は暗闇に向かって話し続けてる。

僕の身体に衝突してくるモノは何?
それは死体だよ。
自分の感情を探して彷徨う死体だよ。

例えば、眠る事を忘れたフクロウがいるとするだろ?
するとフクロウは一日中、ホーホーと鳴き続けるんだ。
それを聞いた人々は、まだ夜だと思って、寝り続けるんだ。


大都心。
落ちてきそうな空の下。
スクランブル交差点は死体の山。
もう小人の姿は見えない。

「君にまだ意識はあるかい?
もしあるのならば、今すぐあいつに会いに行くべきだよ。
ノスタルジックモンスターにさ。」

そう書かれた手紙が届いた。

だから彼を探しに行くことにしたんだ。
彼は深い深い森の中にいる。

僕は深く暗い森の中、完全に道に迷ってしまったよ。
そこで初めて僕は僕自身を掘り返し始めた。

すると土の底から感情が溢れ出てきた。

ディディダ
ディディダ
ディディダ
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