ニャチコジエンズ

ライブ告知のメールを久しぶりの友人に送ってみたら、えらく出世して料理長として某レストランを切り盛りしてるという。
あの、ちゅうがっこうを中退して、緑色の髪をしていた彼がいまや料理長とは。
いやあ、人は変わる、大人になるもんだわあ。
緑色だった彼ですらバンドなんてヤクザな所業からは足を洗って、すっかりまっとうな社会人として生きている。
するとあれか、彼の10は上の私は真性てやつか。

私が若いときは友達の三分のニはなんか音楽をやっとった。
こいつなどとても30まで生きられまい、あいつなど生涯正社員など務まらないだろうなんて、
どこに出しても恥ずかしくないジャンキーやヤンキーばかりだとばかり思っていたのに、
この年になってみたらどうか、だあれも音楽なんてやってないでやんの。
単なる青春時代の通過儀礼か、若人の特権か。
自分が40にしてジサクジエンズを立ち上げたとき、
このジャンキーのうちの一人をライブに無理矢理呼んだ。
タイバンにもう一人共通の音楽仲間の兄ちゃんをよんだ。その兄ちゃんの演奏中、ジャンキーはステージに目もくれずシャツを被って壁に寄りかかって寝ていた。
疲れきった表情で。
そのときもう二度と彼をライブに呼ぶのは辞めようと思ったっけ。

エイズの検査をするとき本当はウィルスに感染してないのにまれに陽性反応が出ることがあるんだそうな。
この偽の陽性反応を偽陽性と呼ぶらしい。
どっぷりバンドに浸かってるように見えたジャンキーは偽陽性だったのだろう。
音楽はいついかなるとき、どっからどう見ても良いものだと1ミリも疑わないあたくしは
真性の陽性か。