ゆみこ

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四年前、まだ僕がマーシャル(アンプの超有名メーカー)をマルシェルと呼び、ガッツが弦を1本張り替えるのに10分くらいかかりよった頃。僕らは吉祥寺曼茶羅とゆうライブハウスで初めてのライブをした。誰かが僕に言った。「不満や怒りがないのならロックなんてする必要ないんじゃない？」
ロックって難しいなぁって。だけども僕には不満や怒り、反骨精神なんてまるでない。それどころか主張したいことすらない。未だにない。(←情けない。)
いや、しいて言うならひとつだけ不満があった。

冬場になると出現する、羊のモコモコした部分で作られたようなあの肌色の上着。通称『モコジャン』(←完全に通称ではない)。そのモコジャンについて不満がある。

あれ、完全にモコモコ部を中にした方が暖かいよにゃ？そっちの方が気持ち良さそうやし。ベンチコートとかそうなっちゅうやん？でもね、僕はこれを書きながら、それにすら気付いてしもうた。モコジャンを作った人、つまりモコジャマンは僕みたいなカスとは全く発想が違った。モコジャマンはおそらくこう思った。
「ちまちまやってんじゃねぇっつーの、めんどくせぇなぁ。もういいよ、なっちまお。いっそ羊になっちまおうよ。」
素晴らしい。なるほど、確かに。羊の防寒力を手に入れるには羊になってしまうのが一番だ。

これで僕の唯一の不満すらこの世から消えて無くなってしまった。じゃあなぜ僕は明日鳩ヶ谷に行くの？知らない知らない、そんなの知らない！
理由なんて全部捨ててしまえ、このクソバカタレが。僕は羊だ。今、自転車でスタジに向かいゆうとこ。今日はお月がすごく綺麗やよ。メ～。