包帯うさぎ

池袋駅、ホームの端、木の椅子に座って
ちょっと頑張ったメイク、気合い入れたスカート
初めて使ったアイロンで伸ばした前髪の隙間から
見えたあなたの姿に気付かないふりをしてた


電車の揺れで触れ合う肩
悪いことしてるような気がした
「ここで乗り換えですよ」
って初めて聞いたあなたの声


嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ
あの日に買った１００円ライターは捨てられないよ
嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ
渡せなかった気持ちは今も引き出しの中


西武球場前、改札口、揃わない足音
ちょっと遅れるわたし、小走りで追いかける
初めてあなたの歩幅に合わせて歩いた
太陽は厭味ったらしく照りつける


交わす言葉もないままに
コンビニで買ったパンを食べた
「…」
って声にならない想いのしかかる


嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ
あなたの服や靴ばかり思い出すよ
嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ
わたしだけが忘れられないでいるよ


見上げたあなたとの距離感は
遠ざかるばかりで
仰向けに転がった死にかけの蝉の目に映る
青空の残酷さにようやく気付いた


嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ
傷を舐めあうだけの関係でもよかったのに
嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ
もうわたしの心から出て行って欲しいよ


嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ
隠してあげたかった右腕の孤独は
嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ
誰かを抱きしめる誰かと溶け合う
わたしの知らない誰かと


嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ
本当に嫌いだよ
嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ嫌いだよ


嘘だよ