.゚*。*゚。*.。.*.゚*。.
゚*。゚つづき゚*。゚
.゚*。*゚。*.。.*.゚*。.
「ウサギとカメのその後の話」 阿部千夏
僕はウサギの「ピーター」
僕の自慢は真っ赤なかわいい目と誰よりも遠くに飛べるジャンプ力さ!!
この辺りじゃ野山を走らせたら、僕に勝てるやつは
誰もいないんだ。
そんな僕の友達はカメの「ごん太」。
ごん太はいつも、とってもゆっくりゆっくり歩くんだ。
僕とは大違い。
そんな僕らは、今では大の仲良し。
今ではって?そう、昔はね、そうじゃなかったんだ。
いつものろのろ歩いているごん太と僕は、ある日、
山の頂上までどちらが先に行けるか競争する事になった。
僕はのろまが嫌い。
だからごん太の事をよく
のろまってからかってたんだ。
そしたらさ、「それなら競争しよう」って
ごん太が言ってきたんだよ。
そんなのやる前から僕が勝つに決まっている。
よーいドン。
僕は風を切って走り出した。
もうすぐ頂上と言うところで、僕はちょっと昼寝をした。
どうせごん太は、まだまだ来やしないんだ。
どのくらいたっただろうか。
ふと目が覚め、上を見上げたら、そこにはVサインをした
ごん太が立っていた。
僕は家に帰り、悔しくて悔しくてママにこう言った。
『本当は僕が勝つはずだったんだ。
うっかり昼寝なんかしてしまったけど、ちゃんと走れば
僕の方が速いんだ。あんなのろまに負けるはずない。』
『そうね、ピーター。それで、あなたはどうしたいの。』
『明日もう一度、ごん太と勝負する』
僕はごん太ともう一度勝負した。今度はもちろん僕が勝った。
『どうだい。僕の速さが分かったかい。』
僕はそう言って、ごん太にむかってVサインをした。
ごん太はついたらきっと悔しがるに違いない。
そしたらどうだろう。
ごん太は
ニコッと笑って、同じように
僕にVサインを返してきたんだ。
僕は悔しさと驚きで家に飛んで帰った。
僕はママにこの事を話した。
『ママ、僕、ごん太が許せない。あいつ、Vサインをするんだ。
僕が勝ったのに・・・』
『そうね、ピーター。それで、あなたはどうしたいの。』
『明日、もう一度、ごん太と勝負する。それで、今日よりもっと速く走って、
ごん太に僕の速さを見せつけてやるんだ』
次の日、もう一度勝負を挑んだ。
『やあ、ピーター君。えっ、また競争するの。うん、いいよ。でもさ、
山でばかりじゃつまらないから、今度は海で競争しない。』
『えっ、海で。(海じゃ僕が完全に不利だなぁ)』
『大丈夫だよ。ピーター君は海が苦手でしょ。だからさ、
僕の背中に乗ったらいいよ。』
『・・・・』
僕は驚いた。
そして、
『ごん太・・おまえさ、2回目に競争した時、負けたのにVサインしただろう。
あれはどうしてなんだ。』
『ああ、あれね。1回目の時よりも速く走れたからさ。』
僕は家に帰った。
ママはこう言った。
『ゴン太くんは誰とも戦っていないよ。
いつも自分のベストを目指しているだけじゃないかしら。
私たちは1人ひとり、持っているものが違うの。
それを同じ舞台で同じように戦うのっておかしくない。
今までは確かにそうだったかも知れないわ。でもね、
これからは1人ひとりの力を発揮する場が違う事をお互いに思いやり、
認め合い、評価し合い、助け合う。
そんな世の中になるんじゃないかしらね。
ごん太君はそれを分かっているから、自分の得意な海では苦手なあなたを
背中に乗せるという、ゆとりの気持ちがあったのではないかしらね。』
その日から、僕はごん太が大好きになった。
そして、人と競争する事をやめたんだ。
おわり
Written by Michael
゚*。゚つづき゚*。゚
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「ウサギとカメのその後の話」 阿部千夏
僕はウサギの「ピーター」
僕の自慢は真っ赤なかわいい目と誰よりも遠くに飛べるジャンプ力さ!!
この辺りじゃ野山を走らせたら、僕に勝てるやつは
誰もいないんだ。
そんな僕の友達はカメの「ごん太」。
ごん太はいつも、とってもゆっくりゆっくり歩くんだ。
僕とは大違い。
そんな僕らは、今では大の仲良し。
今ではって?そう、昔はね、そうじゃなかったんだ。
いつものろのろ歩いているごん太と僕は、ある日、
山の頂上までどちらが先に行けるか競争する事になった。
僕はのろまが嫌い。
だからごん太の事をよく
のろまってからかってたんだ。
そしたらさ、「それなら競争しよう」って
ごん太が言ってきたんだよ。
そんなのやる前から僕が勝つに決まっている。
よーいドン。
僕は風を切って走り出した。
もうすぐ頂上と言うところで、僕はちょっと昼寝をした。
どうせごん太は、まだまだ来やしないんだ。
どのくらいたっただろうか。
ふと目が覚め、上を見上げたら、そこにはVサインをした
ごん太が立っていた。
僕は家に帰り、悔しくて悔しくてママにこう言った。
『本当は僕が勝つはずだったんだ。
うっかり昼寝なんかしてしまったけど、ちゃんと走れば
僕の方が速いんだ。あんなのろまに負けるはずない。』
『そうね、ピーター。それで、あなたはどうしたいの。』
『明日もう一度、ごん太と勝負する』
僕はごん太ともう一度勝負した。今度はもちろん僕が勝った。
『どうだい。僕の速さが分かったかい。』
僕はそう言って、ごん太にむかってVサインをした。
ごん太はついたらきっと悔しがるに違いない。
そしたらどうだろう。
ごん太は
ニコッと笑って、同じように
僕にVサインを返してきたんだ。
僕は悔しさと驚きで家に飛んで帰った。
僕はママにこの事を話した。
『ママ、僕、ごん太が許せない。あいつ、Vサインをするんだ。
僕が勝ったのに・・・』
『そうね、ピーター。それで、あなたはどうしたいの。』
『明日、もう一度、ごん太と勝負する。それで、今日よりもっと速く走って、
ごん太に僕の速さを見せつけてやるんだ』
次の日、もう一度勝負を挑んだ。
『やあ、ピーター君。えっ、また競争するの。うん、いいよ。でもさ、
山でばかりじゃつまらないから、今度は海で競争しない。』
『えっ、海で。(海じゃ僕が完全に不利だなぁ)』
『大丈夫だよ。ピーター君は海が苦手でしょ。だからさ、
僕の背中に乗ったらいいよ。』
『・・・・』
僕は驚いた。
そして、
『ごん太・・おまえさ、2回目に競争した時、負けたのにVサインしただろう。
あれはどうしてなんだ。』
『ああ、あれね。1回目の時よりも速く走れたからさ。』
僕は家に帰った。
ママはこう言った。
『ゴン太くんは誰とも戦っていないよ。
いつも自分のベストを目指しているだけじゃないかしら。
私たちは1人ひとり、持っているものが違うの。
それを同じ舞台で同じように戦うのっておかしくない。
今までは確かにそうだったかも知れないわ。でもね、
これからは1人ひとりの力を発揮する場が違う事をお互いに思いやり、
認め合い、評価し合い、助け合う。
そんな世の中になるんじゃないかしらね。
ごん太君はそれを分かっているから、自分の得意な海では苦手なあなたを
背中に乗せるという、ゆとりの気持ちがあったのではないかしらね。』
その日から、僕はごん太が大好きになった。
そして、人と競争する事をやめたんだ。
おわり
Written by Michael
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