tonki

スタジオ当日。いつも通り５時に目が覚めてしまった。ＢＩＣＨのネック調整、弦高調整を再度行う。早く起きたのにトイレと風呂掃除に時間が取れなかった。
　それにしても１２時半からのスタジオは早すぎる。ミーティングスペースでサンドウィッチの昼食をビールで済ませたら眠くなってきた。足回りが広いテーブルに移動すると小さい女の子が背中越しに立っていた。「この娘がかりんさんだな」確信があっても声をかける前に１番離れたテーブルに逃げられた。トイレに行ったり落ち着かない様子だ。５分前に社長とMADOKAさん到着。挨拶を済ませたところに相棒のドラマーも到着。
　個人練習用にしか使えないような狭いスタジオで音出し。何度言ってもギターの音が小さい。上手いとは聞いていたのでそれ以外のところが気になる。悪い性格だ。「ヴォリュームは上げてギターは下げろ」など偉そうなことを言うものだからコミュニケーションなどとれはしない。ただでさえ２６歳差だ。
　Madokaさんにも初対面なのに皮肉を言ってしまった。１日何時間位練習をするのか？という話題で彼女が答えた後に「それでタバコは１日に１箱か」と突っ込んだ。やはり性格の悪さが出ている。
　そんなスタジオの状況を相棒の魔っちゃんが緩和してくれた。彼女たちとは好きなバンドが合うようだ。プレイもそうだが、彼に頼んだ狙いはここにもあったのだ。
　自分は人見知りで、しかも娘だとしてもおかしくない年齢差の女の子とコミュニケーションをとれるはずがないのだ。女性に対する免疫はすでになく、ついには先月のライヴの打ち上げでゲイ疑惑まで浮上する始末だ。
　２曲で２時間。しかもチューニングが違う。曲が変わる度チューニングを合わせなければならなかった。後半は音のバランスも良くなり少しづつまとまるようになった。
　加入希望を掲げてもオッサンは相手にされないことがわかったので取りあえずサポートメンバーとして引き受けることにした。２人のお嬢さんは当然一緒にやることは特に希望していないだろうが。
　音源は殆どルート弾きだ。ルート弾きはやってるうちにどこをやっているのかわからなくなるから苦手だ。まあ掛け持ちでやるのだからちょうどいいか。お嬢さん達もこの変人に少しづつ慣れていくことだろう。たぶん。