水無月あやめ

夢だけ見ていた頃を　
懐かしいと思うほどの月日
足元から続くこの黄泉路（みち）　
あの頃の色彩は消えた


古を還り見る我には　もう　　　
其の身体を包む術はない
今は唯　刹那に雫落とし　　　
爾後来世　愛を誓う　



真珠の灯（ともしび）　　瞼に焼付きし面影
此の灰色の腐界には　　　僅かな光さえ毀れぬ

紅に染まる雲路を　　　辿って逝くだけ・・・





此の終りをも知れずに　
積悪を悔やむも許されずに
琥珀の中残した涙　　
悲しみを如実に語らん


夢現（ゆめうつつ）惑乱を繰り返して　
境界の曖昧さを嘆く
今は唯　脳裏記憶を抱（いだ）き　　
爾後来世　あなた想う


真珠の落涙（らくるい）　　羅刹に変わりゆく此の身を
清め慈しみ溶かして　　　ささやかな願いも届かぬ

紺碧に冷えた心に　　　映す真実




真珠の灯（ともしび）　　瞼に焼付きし面影
此の灰色の腐界には　　　僅かな光さえ毀れぬ

真珠の落涙（らくるい）　　羅刹に変わりゆく此の身を
清め慈しみ溶かして　　　ささやかな願いも届かぬ

紅に染まる雲路を　　　辿って逝くだけ

辿って逝くだけ・・・